With the sky, stars and magicians ...No.2

055 ページ5

「誰か、この声に答えてくれ。」


ヒビキの途切れ途切れの念話に、にやりと桜色の髪の男が笑った。


「ああ、聞こえてるさ。
お前らの声は全部聞こえてる！！！」


呼応するように、ナツが立ち上がり、つられてグレイもまた息を吸い込んだ。

「聞こえていた。
七つのラクリマを同時に破壊する、だろう。」

「運のいい奴は、ついでにゼロも殴れる。」

「時間がないよ！後18分だ！！
なんとしても、ウェンディとシャルルのギルドを守るんだ！！！」


グレイ、ルーシィ、ハッピーの声が、確かに念話に入る。
彼らの声を聞いたエルザはふっと笑った。



「聞いていたな、A、お前も立つんだ。」

確かに言われた通り、エルザの声はAに届いていた。
もちろん、ナツやグレイ、ハッピーやルーシィの言葉も、全てだ。
だが、殴られた場所はそう簡単には回復しない。
呼吸するたびに喉の奥が焼けつくように痛いのだ。

「っ、」

歯痒い思いをしながらも届く念話に、集中する。

一方、近くにいたウェンディとジェラールは何事かというようにエルザを見つめた。
だが、エルザは返事をしないAの呼吸をどこか感じ取り、そして核心めいたようににやりと笑った。


「お前は、憎たらしいくらいに強い、
先ほどゼロが言っていた光の魔道士、あれはお前のことだろうA。


Aがアレを使うなんてな…」


ふっと静かに笑った時、ふと誰かの声が念話に入った。

「…うるさいわよ、エルザ。
勝手に、べらべらと喋ってばかりで。

貴方ほど頑丈じゃないよ、私は。」
「それはどういう意味だ。」

エルザの小さな反論もよそに、ボロボロになった赤ドレスを乱雑にめくり上げたA。
視界を追う真っ黒な髪を乱雑にかきあげ、Aはふっと微笑んだ。

呼吸できないはずなのに、息が続き不思議と息が吸えた。
いうことを聞かないなんてレベルはとっくの昔に超えているはずなのに、それでも動き続ける体。
もう考える余力なんて残っていないくらいに、頭はぼうっとしているはずなのに、Aはそれでもエルザの憎たらしい口調にどこか反論せずにはいられなかった。


ぐらりと傾く体をなんとか支える。
バシッと壁に手をつき、ようやく体を起こしたAは、黒の目を灰色に染めていた。


「貴方に発破をかけられる日が来るなんてね…エルザ。」
「ようやく起きたな。

A。」


にやりと笑ったエルザに、ジェラールも、ウェンディもこくんとうなずいた。

056→←054

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す