077 天狼島編 ページ27
Aたちがエドラスから帰還して3日後のことだった。
A、エルザ、ミラジェーン、ギルダーツの四人は、マカロフに呼び出されていた。
「…マスターがこの時期にお呼びになるということは…」
「ついに始まるんですね、」
「懐かしいな、Aや、ミラ、エルザがこの試験に受かった記憶がつい最近のように感じる。」
「S級昇格試験。」
Aの言葉に、マカロフはこくんと頷いた。
「選出するメンバーはこのように考えている。」
読み上げられた名前に、Aたちは黙って聞いていた。
「…妥当です。」
Aの頷きに全員がこくりと同意を得た。
「それでは明日全員を集めて、話を設ける。
お前たちも来るように。」
その言葉を皮切りにスッと全員が離れていった。
Aは最後までこの部屋に残っていた。
「…A、どうしたのだ。」
マカロフの優しい言葉に、Aは俯いていた顔を上げた。
「前回言われていたS級クエスト、あれの報告がまだ済んでいませんので。」
「おお、そうだったな。
わしがお前に託したクエスト、成功してくれたかの?」
マカロフの言葉に、Aはたしかに頷いた。
初め、このクエストを託された時何が起きているのかわからなかったが、エドラスの話を聞いていたAは、こちらの世界に来てもまだなお、息をし続けているエドラスのAの正体に薄々気がついてた。
そしてそのエドラスから帰ってきたA。
昔のAには白い布を見にまとっていた、だが今はそれもない。
残ったのは、魔力も何も残っていない三角形の灰色のイヤリング、そして、
「入ってきて…」
きいっとゆっくりと開いた扉から、ゆっくりと視線を下に下ろすマカロフ。
視線の先にいたのは、エドラスの世界でエクシードと呼ばれていた、一匹の灰色の猫だった。
目つきが鋭く、それでも切れ長な灰色の瞳は、Aにどこか生き写したように似ていた。
そして大きく伸ばされた耳には漆黒のイヤーカフ、白い羽を丁寧に畳んだその姿はすっとテーブルの上にいたマカロフを見上げた。
「…私の名前は、アル、このフェアリーテイルに、私を置いてください。」
怯えるように静かに首を垂れたアルにマカロフはうーむと唸ったあと、
「うむ!!よいぞ!!よく来たな、アル!!」
そう言っていつもの持ち前の明るさで、ぽんっと魔道具でアルの背にフェアリーテイルの紋章を押した。
深くは尋ねないその笑顔に、アルは少しだけ目を見開いていた。
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イライザ(プロフ) - ベルモットさん» 今度、そちらのコメントの方にお邪魔しますね。いつもありがとうございます。 (2020年1月5日 13時) (レス) id: 2c5d1feb72 (このIDを非表示/違反報告)
イライザ(プロフ) - ベルモットさん» すみません、紅蓮の起死少しずつ読んでいますが、まだコメントに残せていなくて申し訳ないです。世界観が細かくていいですよね。コナンシリーズも今度みたいと思います。実はあんまりROM専じゃないというのもあって、読むスピードが壊滅的に弱いんですよね。 (2020年1月5日 13時) (レス) id: 2c5d1feb72 (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - お忙しいかと思いますが、もし宜しければ一度見て行って下さい。紅蓮の起死が題名になっている筈なので。最近、またコナンシリーズを再度投稿しています。原作の方で灰原の正体が世良真澄に見抜かれているお話がありました。意外に、世良真澄は個人的に好きです。 (2020年1月5日 0時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - 成る程。キャラの口調はキャラの特徴ですからね。私の場合は出来るだけマンガを参考にさせて貰って書いています。コナンの場合は大まかなストーリーをなぞりながら。あの、お話がずれるますが、以前こちらの状態で没にしていたオリ作の小説を投稿し始めました。 (2020年1月5日 0時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
イライザ(プロフ) - ベルモットさん» キャラの口調とか、大まかなストーリーの流れを外さないように、一応アニメを見ながら描いています。アニメを見ながら、主人公ならこうしそうだなと妄想して、それから文章に起こしています。説明臭くなるのは、私の努力不足ですね、もっとがんばります。 (2020年1月4日 16時) (レス) id: 2c5d1feb72 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:イライザ | 作者ホームページ:
作成日時:2020年1月1日 12時