129 アズカバン ページ36
夏を間近に迎えた頃、新聞の一面にはシリウス・ブラックが逃亡を図った記事が載った。
魔法省の調べによれば、イギリス国内にいるとは思えず、全国各地に手配書を配布しているとのこと。
そんな読んでも仕方のない記事をじっくりと、無駄に時間をかけて読み込んでいたAは、ふと顔を上げた。
「なにか。」
「いいえ、随分と熱心に読んでいるものね。」
と、目の間に腰掛けていた老婆は、Aの隣に腰を下ろし直した。
さてと、と髪を耳にかけ、手を膝の上に置いた老婆は、非常に改まったような顔つきだ。
一体何をしでかしたのか、身に覚えがあると言えばあるAが黙って見守っていると…
「A、今日がなんの日か覚えているわよね。」
「ええ覚えていますとも。」
「…もうすぐで汽車の時間になるのだけれど、なんでまだこんなところにいるのかしらねえ。」
と口調こそ穏やかだが、崩れない笑顔が、彼女の怒りの度合いを表している。
だがそんなものを横目に、Aは再び新聞に顔を落とした。
「A！のんびりしていないで早く支度しなさいっ」
「もう遅いですよ。」
とくいっと顎で指し示した時計は、カチリと午前10時を打った。
「…さてはわざとやったわね。」
「はてなんのことやら。」
とすっとぼけるAの目の前で読んでいた雑誌を奪った老婆は、鬼のような顔をした。
「この間からなんのですっ
いきなりわがままを言ったかと思えば、放って置いてと勝手に何処かに消えて、そうかと思えば約束の場所にも来ない。
一体私の何が気に入らないのです。」
胸に手を当てて悲痛そうな声を上げるが、Aはそれが演技だと知っている。
だからAは表情を完全に殺し、抑揚のない声で端的に答えた。
「全部。」
あいもかわらずオブラートに包まないその物言いに、老婆は呆れた。
着飾っていたドレスにシワがつくのもかわまず、荒々しく座り込む。
丁度隣にパーティの招待状らしきものがあったはずだが、Aは見なかったことにした。
はあ、と額に手をかざした老婆は、うんざりだと言いたげに立ち上がった。
「…わかりましたよ、、A、降参です。
あなたの望みを聞きましょう。」
「私は何も言っていませんが？」
「言わずともわかりますよ、貴女がわざとこんなふうに振る舞う理由は。
さあ、時間の無駄になるから早くっ」
さあ、と急かす老婆にAは一つ息を吸う。
「クラリス・スミスという女性に覚えはありませんか？」
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アサノ(プロフ) - ああ、それでしたら、hp2018で開きますよ。分かりにくかったらすみません。 (2018年4月4日 22時) (
レス) id: 35d7b1e41a (このIDを非表示/違反報告)
レイラ(プロフ) - branding and Loveという小説の全てにパスワードがかかっていて… (2018年4月4日 21時) (レス) id: f5c10c9f75 (このIDを非表示/違反報告)
アサノ(プロフ) - マイボードの方に来ていただければ分かりますが、どの作品でしょうか？ (2018年4月4日 21時) (レス) id: 35d7b1e41a (このIDを非表示/違反報告)
レイラ(プロフ) - アサノさんの作品でパスワードを入力しなくては見れない作品があるのですが、パスワードは教えてもらえるのでしょうか？ (2018年4月4日 21時) (レス) id: f5c10c9f75 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アサノ | 作者ホームページ：
作成日時：2018年3月28日 15時
