128 アズカバン ページ35
「…一体なんだっていうんだ。」
と不意に伸ばしたのは自身の首元。
だがそこにあるのは寝起きの状態でややはだけた様子の寝間着だけ。
空をかいたような仕草になってしまったが、ドラコは何か物足りないように首元を探っていた。
「変だな、何かつけていたような気がするんだが…」
寝間着を脱ぎ捨て、きっちりとした服装に身を包んだドラコは、すっとドアノブに手を伸ばし掛けた。
だがやがて思い立ったようにくるりと振り返り、適当に棚の中を弄った。
「…まあこんなものでも代わりにはなるか。」
なんの代わりなのか、それすらわかっていないドラコだがやはり何もない首元は寂しい。
代理と呼んで取り出したチェーンはかちゃりと音を鳴らして、うなじにまで届いた。
「…」
ゆらりと揺れた銀色のそれを、鏡で確認した後かちゃりと扉を開けて、リビングに向かう。
屋敷内の屋敷しもべたちが動いているのか、台所からは仄かにいい香りが漂って来ていた。
後もう一段でリビングに到着するその時、
「…え、クラリス様とAが消えた？」
と小声で囁かれたその言葉に、思わずドラコの足は止まっていた。
A
そう聞いた瞬間、ドラコの足は止まったのだ。
それは夢の中で確かに聞いた名前。
だが、ドラコにとって縁もゆかりもないはずの名前なのに…
「…なんだどうしたんだ…」
まるで早鐘のようになり始めた心臓を、ぎゅっと上から抑えていると…
「なんだドラコ、そんなところに立っていたのか。」
リビングから顔を覗かせたルシウスは、扉の前で呆然と釣ったままのドラコを中に引き入れた。
「それで、クラリス様から何か連絡はないのか？」
「いいえそれが何も。」
息子の青ざめている顔もそっちのけで、マルフォイ夫妻は、止めていたままの手を動かした。
がっしりとした手に握られたフォークを使って、少量のソテーを上品に口元に運ぶ。
「それは不味くないか？
クラリス様の行方もそうだが、そのクラリス様から、Aという少女について任されているのだろう？
何か手がかりはないのか？」
「いいえ、本当に何も。」
ふるりと残念そうな顔で被りを降ったナルシッサは、微動だにしない息子に眉をひそめた。
「どうしたんです、ドラコ、食事が進まないのですか？」
「い、いえ…なんでもありません。」
Aとは誰なのです、そう尋ねられたなかった自分を、ドラコは後に後悔することを知らない。
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アサノ(プロフ) - ああ、それでしたら、hp2018で開きますよ。分かりにくかったらすみません。 (2018年4月4日 22時) (
レス) id: 35d7b1e41a (このIDを非表示/違反報告)
レイラ(プロフ) - branding and Loveという小説の全てにパスワードがかかっていて… (2018年4月4日 21時) (レス) id: f5c10c9f75 (このIDを非表示/違反報告)
アサノ(プロフ) - マイボードの方に来ていただければ分かりますが、どの作品でしょうか？ (2018年4月4日 21時) (レス) id: 35d7b1e41a (このIDを非表示/違反報告)
レイラ(プロフ) - アサノさんの作品でパスワードを入力しなくては見れない作品があるのですが、パスワードは教えてもらえるのでしょうか？ (2018年4月4日 21時) (レス) id: f5c10c9f75 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アサノ | 作者ホームページ：
作成日時：2018年3月28日 15時
