114 アズカバン ページ21
ダンブルドアに呼びつけられたAは、ひたすら嫌な予感しかしなかった。
姿現しができない廊下をまるで逃げ回るネズミにでもなったような心地で、ダンブルドアについて行った。
「ほれ、着いたぞ。」
言われるままにAが顔を上げるとそこにあるのは石像とかした巨大なガーゴイル。
いや正確には巨大なガーゴイルが彫られてた石像なんのだが、そうとは思えないくらいに精巧にできたそれにAはしばし呆けていた。
「ほれ行くぞ。」
とダンブルドアが踏み出すと途端に動き出したガーゴイルは、階段と入れ替わるようにその姿を消した。
一方のAは別の意味でまた驚いていた。
言われるままに訪れたそこは、先ほどまでAが横たわっていた場所だ。
「ようこそ、校長室へ。」
にこりと茶目っ気たっぷりに微笑む老人に、Aはどこから突っ込めばいいのか盛大に迷った。
何故自分は校長室で寝ていたのか、何故そこにいたのがスネイプ教授だったのか、そして何故周りのみんなが名前を忘れている中、たった唯一この人だけが覚えているのか。
そう迷っていたAの心の内を素早く察したのか、そっとその少女の頭を撫でたダンブルドアは少し悲しげな表情になった。
「君の辛さはよくわかる、だがのA、君はもっと酷な現実を前にせねばならぬ。」
「酷な現実…ですか？」
「ああ、酷な現実それは先ほど君も見たであろう、君を覚えているのものはこのホグワーツにおいて誰一人としておらぬ。
そしてこのわしもじゃ。」
そう告白された途端、Aは素早くその男から距離をとった。
ダンブルドア先生だけはと一瞬でも気を抜いた自分が馬鹿だったのだ。
歯がゆいような、悔しいような、胸の内を叫んでしまいたいようなそんな行くあてのない苛立ちが、Aの全身を埋め尽くした直後だ。
「A…」
と柔らかな声で彼女を呼ぶものが現れた。
見慣れたアッシュブロンドを揺らした彼女は変わらない姿のままだった。
「…お婆様…」
「久しぶりね、A。
どう？元気にしていた？」
ホグワーツ中の誰もがAのことを知らない中、Aは自身の名前がはっきり呼ばれることにどこか安堵を感じていた…が、反面恐ろしさも感じていた。
「また…あなたの仕業ですか？」
低くうねったようなその声に、老婆は愉悦な笑みを浮かべた。
「もう隠し事はできないわね。」
笑みを込めて告げられた言葉にAは寒気を感じずにはいられなかった。
115 アズカバン 得たものと失ったもの→←113 アズカバン
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 60人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
アサノ(プロフ) - ああ、それでしたら、hp2018で開きますよ。分かりにくかったらすみません。 (2018年4月4日 22時) (
レス) id: 35d7b1e41a (このIDを非表示/違反報告)
レイラ(プロフ) - branding and Loveという小説の全てにパスワードがかかっていて… (2018年4月4日 21時) (レス) id: f5c10c9f75 (このIDを非表示/違反報告)
アサノ(プロフ) - マイボードの方に来ていただければ分かりますが、どの作品でしょうか？ (2018年4月4日 21時) (レス) id: 35d7b1e41a (このIDを非表示/違反報告)
レイラ(プロフ) - アサノさんの作品でパスワードを入力しなくては見れない作品があるのですが、パスワードは教えてもらえるのでしょうか？ (2018年4月4日 21時) (レス) id: f5c10c9f75 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：アサノ | 作者ホームページ：
作成日時：2018年3月28日 15時
