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191 秘宝 ページ16

「俺様を侮辱するとは、」


ぬらりとしたそれは、つかみ所のない靄となってAを覆った。

「いい度胸だな、」
「良く言うわよ、何度も殺しに来たくせに。」


Aの恐怖へのリミッターは既に振り切っていた。




「っやめろ」

ドラコが当て身をしようとして吹っ飛ばされたのを、Aは靄の向こうから目を見開いた。

「ドラコ?!「煩い、俺様のものには指一本触れさせない。


クラシス、」


狂気にも似た恐ろしい感情が、Aを抱き込もうとしたとき、


「レダクトッ」

何処からか破壊呪文が唱えられ、靄の元凶となっていた杖が粉砕した。
そして壊れた杖は二度と甦らず、また黒い靄がAから去った。



床から浮いていたAは、自分をつり上げていたものがなくなり、床に崩れ落ちた。

「Aッ」


ドラコがかき抱くようにAの身体を引き寄せると、血の気が引いたようにAの身体は冷たかった。


「A、」
「大丈夫だ、一時期的に気を失っているだけだ。」

ひょいとドラコの肩口から覗き込んだアレン。
此処には居ない筈の人物に、ドラコは漸く声を上げて驚いた。


「なっなんでここに。」
「君と一緒さ、秘密の抜け穴を使ってここまで、」


にこりと笑ってみせるアレンは、粉々になりそこにこげた後を残したテーブルを見つめた。

「全く執念深い呪いだな。
にしても、Aの杖で破壊させるとは、君もやるな。」


アレンはドラコの手の中にある黒檀の杖を見つめた。

「でもなんで、Aの杖で壊れたんだ?」
「わからずにやっていたのか?」
「あ、ああ、」


名前返事を返すドラコに、アレンはざっくりとこれまでの経緯を伝えた。

Aが生前の曽祖母の杖を使っていたこと。
そしてその杖は持ち主とヴォルデモート卿が誓いを結んでいたこと。

「そして君がその呪いをこれで絶ったのさ。
この杖は彼女のもので、さっきの杖は彼女を主ととしていた。
だから杖の持ち主が望めば杖は消し去る、単純な話さ。」


血の契約の解除法としては、合法じゃないけどねとアレンは心の中で付け足し、ドラコにニコリと笑ってみせた。


「それと、Aダメだろ、
自分の使い魔を放って来ちゃ。」

つっと天井から降りてきた大きな毒蜘蛛に、ドラコは驚いた。
アレンの肩に乗っていたマグスは、Aの上に飛び乗った。

「なっ、毒蜘蛛。」
「大丈夫、確かに毒蜘蛛だけど主人には忠実だから。」

途端マグスはAに怒鳴った。

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ゆう - こんなに引き込まれたのは初めてです。内容も構成も素晴らしい小説でした。主人公とドラコのむず痒いようで愛おしい関係に心が温まりました。本当に面白かったです。あなたの物語を読めたことに感激しています。素敵な話をありがとうございました。 (2020年11月20日 23時) (レス) id: ba6b4fdba7 (このIDを非表示/違反報告)
- とても読み応えのある作品で、完結まで休みなしで読み終えてしまいました。物語が進んでいく中で、主人公とドラコの関係性が少しずつ変わり、謎も解明されていき、終始どきどきがとまりませんでした。私の拙い言葉では言い表せないくらい、本当にすてきな物語でした。 (2020年10月25日 4時) (レス) id: f5af52d735 (このIDを非表示/違反報告)
アサノ(プロフ) - ナナナさん» 深夜ですか?!ありがとうございます!そこまで言ってもらえるととても嬉しいです(^^)本当にありがとうございます。 (2018年12月5日 7時) (レス) id: 0af6fdad08 (このIDを非表示/違反報告)
ナナナ - 読み始めたら止まらんくて気付いたら夜中の3時まわってた!とても引き込まれました〜とても面白かったです (2018年12月5日 3時) (レス) id: f9de44e996 (このIDを非表示/違反報告)
アサノ(プロフ) - 水素ちゃんさん» こちらこそありがとうございます。始めて書いたハリポタ作品なだけあって、至らぬ点があったにではないかと何度も読み返したあの頃が懐かしいです^ - ^そんな経緯もあってか、真摯なご感想に感激しました。こちらこそ貴方様の様に素敵な読者様に出会えて光栄です。 (2018年6月16日 18時) (レス) id: 2c5d1feb72 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:アサノ | 作者ホームページ:   
作成日時:2017年9月21日 23時

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