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り contact ページ10

すっごく綺麗な女の人

男がこれを聞いて嬉しくないわけがない、二人揃ってどうぞ、と返す。
心なしか鼻の下が伸びているのは気のせいではないだろう。

ニコニコと立ち去ったウェイトレスに呼ばれて表れたのは、上品なクリームカラーのロングドレスに、目深に被った白いキャペリン(つばの長いハット)を身につけ、東洋を連想させる艶やかな顔立ちの女性だった。

『どうもありがとう。どこも混んでいて困っていたの。』
『いえいえ、これだけ日和も良ければ外にでたがるのは当然でしょう。』

淀みないフランス語にフランス語で返す。
席を空けてくれた"佐伯"の隣に腰かけた女性は、ここに来て初めて帽子を脱いだ。

え、と二人に一瞬動揺が走った。


黒く豊かな揺れた髪は弧を描いて空に舞う。
涼やかな目元をした女性は、二人に向かってにこりと微笑んだ。


『ありがとう二人の"紳士"さん。
私、曉燕 (シャオイェン)と言うの。』

ベトナム特有の訛りをわざと含めて、艶やかに笑った女、曉燕はあの"A"だった。

帽子を目深に被っていたとはいえ、隣に座るまで全く同僚の気配に気がつかなった"田崎"と"波多野"は一瞬あっけに取られた。
だが、すぐに切り返して簡単な自己紹介をした。

そこからは他愛もない話をして、三人はごくごく自然に振舞っていた。


中国人の混血らしい曉燕は、流暢なフランス語に混ぜて冗談を言うのがうまく、また女性らしく艶やかに笑う。

経済の勉強のために、わざわざ海を渡って来た資産家の息子、佐伯祥二は紳士な対応で暁燕と共に笑う。

また友人につられて来たという井上智也も、及ばずながら冗談めかしにユニークな話で盛り上げる。

"たまたま"出会い、"偶然"話があい、意気投合した三人組。
はたから見ればごくごく自然な振る舞いで、三人は"これから"について話し合った。
最後に会計を支払うと言って聞かない曉燕に、佐伯と井上は丁重に断りを入れ、三人はそこで別れた。

ぬ Le travail d'espion→←ち 第二幕〈任務遂行〉



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アサノ(プロフ) - masyさん» 返事が遅れてすみません。そんな風に言ってた抱けるだけでとっても嬉しいです。masy様と趣味が合うなんてこちらこそ光栄です笑 (2017年12月27日 1時) (レス) id: 35d7b1e41a (このIDを非表示/違反報告)
masy - ハリーポッターのも読んでます!もうアサノさんの小説が好きすぎて……(笑)とても面白かったです! (2017年12月24日 20時) (レス) id: 065dd9adad (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:アサノ | 作成日時:2017年7月9日 14時

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