ぬ Le travail d'espion ページ11
「さて、祥二。この後どうする？」
「俺は色々と市場を見て回りたい。」
「じゃあ俺は可愛い子引っ掛けて来ようかなあ〜」
「おい智也、あの曉燕さんのところに行くのか？」
「おう、行くぜ。
なんのために遊びに来たと思ってたんだよ。」
「ったく調子のいい奴だな。」
と浮かれ調子で歩いている井上を小突いた佐伯は、そこから井上とは別行動を取った。
さて佐伯祥二としての目的遂行のため、あちこち市やセリに出回った佐伯。
旅行気分だが真面目な青年、と言う"看板"は地元民の心象が良かったのだろう。
あっという間にまわりと馴染んだ佐伯。
そこから彼は十日間以上、毎日定期的に同じように同じ場所を通って回っては熱心に見聞、経済流通の調査をしていた。
一方井上はあちこちにブラブラと不定期に出歩いては、その日連れ立つ女もバラバラで、あの子この子と遊んでは毎日贅沢三昧で過ごしていた。
さて土地のものも、この風変わりな青年二人に見慣れて来たところで、二人はあの曉燕と"偶然"出会った。
場所は夜のダンスホールだった。
堅苦しい佐伯を外に連れ出した井上は、早速佐伯にあの子この子と紹介し始めようとしたところ、"偶然"にもあの曉燕と再会した。
理由は簡単、彼女もそこで踊り子をしていたのだ。
『まああの時の紳士さん。』
『やあ曉燕さん、久しぶり。』
『祥二さん久しぶりねっ！』
『よっ、元気にしてっか？』
『智也さんも毎度をご贔屓どうも、今日も楽しんで行ってね。』
『ああ勿論！曉燕さん、今日は祥二を頼んだぜ。』
『分かったわ。
祥二さん、今日は遊んで行って！』
きゃっきゃっとはしゃいでいる曉燕は、その小柄で華奢な身体を佐伯に委ね、"一方的"に踊りに誘った。
『でも、俺踊りは…』
『いいからいいから、私に任せて！』
曉燕はそこでは〈イェン〉という愛称で通り、愛くるしい顔立ちと、並ならないダンスの天才として華型な存在であった。
女慣れしていない佐伯は不慣れな様子でイェンのリードに従う。
イェンが踊るたびに、真っ青な絹地が蝶のようにはためく。
赤と白に刺繍された美しい華は、勝気なイェンを連想させ、佐伯はその日の夜は自分の勤勉も忘れて、イェンと共に踊り続けた。
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アサノ(プロフ) - masyさん» 返事が遅れてすみません。そんな風に言ってた抱けるだけでとっても嬉しいです。masy様と趣味が合うなんてこちらこそ光栄です笑 (2017年12月27日 1時) (
レス) id: 35d7b1e41a (このIDを非表示/違反報告)
masy - ハリーポッターのも読んでます！もうアサノさんの小説が好きすぎて……(笑)とても面白かったです！ (2017年12月24日 20時) (レス) id: 065dd9adad (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アサノ | 作成日時：2017年7月9日 14時
