空に光る星 2

フッ ページ44

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「荷物は？」

「チェックインしたホテルに置いてきた…」

「ホテルに？――――――A、いつまでこっちにいられるの？」

「1週間の予定だよ。夏休みが終わるギリギリまでいようかなと思って…」

「――――――A…ホテル、キャンセルしてボクのとこに来ない？」

「えぇっ！？」

　急な羽生君の申し出に驚いた。

　こんな展開、予想してなかった…

「心配なんだ…ここは治安は悪い方じゃないけど日本ほどでもないんだ。海外が初めてのAを一人でホテルに置いとくわけにはいかないよ…」

　心配そうに見つめる羽生君の顔。

　やっぱり私、羽生君に迷惑かけちゃう…

　スケートの為、カナダに来てるのに私が来たせいで余計な負担かけちゃう…

「ごめんね…私、迷惑ばっかり…」

「そうじゃないよ！―――今のは建前で…ホントはAと一緒にいたいんだ！」

　少し恥ずかしそうに、それでも真剣な目で羽生君は私を見つめていた。

「少しでも長く、一緒にいたいんだ。1秒でも長く…」


　私に心配させまいと電話では明るく振る舞ってたんだよね？

　涙の理由は分からないけれど、きっと辛かったんだよね？


　少しでも、羽生君の心を軽くしてあげたい。

　悲しい事、辛い事は二人で半分にしよ？

　時間の許す限り傍にいて見守るから…

　嬉しい事、楽しい事は二人で倍にしよ？

　これからもずっと…


　逢いたかったよ。

　羽生君の笑顔、見たかった…

　触れたかったよ。

　羽生君の白く長い指先に…


「私も一緒にいたい…1秒でも長く…」

　羽生君の耳元で囁いた。


　フッと微かに微笑んで、羽生君と4カ月ぶりのキスをした。




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