ミルクティー ページ45
*
リンクに戻り練習を終えた羽生君と近くのカフェで食事を済ませホテルの部屋を引きあげた。
カタカタとスーツケースを引きずる音が薄闇の中響く。
訪れた事も無い見知らぬ街を今、羽生君と手を繋いで歩いている。
繋いだ手が暖かい。
嬉しくて、ほんの少しだけ力をいれ握ってみた。
クスッと笑った後、ギュッと握り返す羽生君の手。
あぁ…私、今カナダにいるんだ…
「荷物、ここ置いて…」
羽生君の指さす先にスーツケースを置くと窓際のソファに腰掛けた。
ドキドキソワソワして落ち着かない。
「A、・・・ ――― ・・・いい?」
「ひゃい!?」
急に声をかけられてヘンな声が出てしまった。
「なっ、なに?今の?」
「なっ、なんでもない…ちょっとビックリしただけ…」
羽生君と今、ふたりきりだということに緊張していた。
初めてじゃないくせに…
海外と言うだけで、ヘンな緊張感が私を襲っている。
「ミルクティーでいい?」
「あっ、うん。ありがとう。」
慣れた手つきでお茶を用意する羽生君の後姿を眺めながらホッと小さくため息をついた。
「これ、入れると美味しんだ。」
テーブルの上、カップと一緒に琥珀色の液体の入ったボトルが運ばれてきた。
「ハチミツ?」
「ブッブ〜!メイプルシロップで〜す!!」
メイプルシロップ―――
サトウカエデの樹液から作られた甘味料。
カナダの国旗はメイプルリーフ旗と呼ばれている事を思い出した。
「この国の名物?」
「そうそう!砂糖の代わりに入れてみて?」
羽生君から言われたとおり、カップに少したらしスプーンでかき混ぜた。
一口、口に含むとそれは甘い香りと共に優しい甘さが口いっぱいに広がった。
「美味しい!!」
「でしょ!?――――――落ち着いた?」
そう言いながら小さく首をかしげ微笑む。
「ありがとう…羽生君。」
羽生君の気持ちで心が優しく暖かく包まれていく。
優しく甘い時間が流れていく。
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さくら(プロフ) - 美珠葵さん» 美珠葵さん、こんばんは!そうですね…リメイクは初めてなので、やってみようかな?って気持ちに傾いています。とにかく楽しんで書ける事が私には一番な気がしますから…待っててくださいね!o(*^▽^*)o (2014年2月28日 23時) (レス) id: a07aa9f760 (このIDを非表示/違反報告)
美珠葵 - さくらさん» ありがとうございます!完結したばっかりなので、気長に待ちます!いつか、読める日が来たらいいなぁ~o(^o^)o (2014年2月27日 21時) (レス) id: 40bfafd00c (このIDを非表示/違反報告)
さくら(プロフ) - 美珠葵さん» 美珠葵さん、こんばんは!コメントありがとうございます♪「カフェモカ」のリメイクって事ですか…う〜ん…(´ヘ`;) アリのようなナシのような…でも、そういうの面白いかもしれないですね(*^.^*)考えてみますね♪ (2014年2月26日 21時) (レス) id: a07aa9f760 (このIDを非表示/違反報告)
美珠葵 - 完結おめでとうございます!さくらsanが以前書いた「~カフェモカ」の羽生クンVer.が見てみたい…気がします。ムチャブリだったらごめんなさい(´・ω・`) (2014年2月26日 18時) (レス) id: 40bfafd00c (このIDを非表示/違反報告)
嵐(プロフ) - さくらさん» 羽生くん、記者会見で、いつも『早く練習したい』と言っているので惚れ直しました(*´ω`*) (2014年2月25日 22時) (レス) id: a79fc36d18 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さくら | 作者ホームページ:http://massugu1211udream.web.fc2.com/
作成日時:2014年2月3日 21時