捌拾陸 ページ39
無一郎くんに稽古に付き合ってもらったりして、3日間はあっという間に過ぎた。
呼吸を習得した時くらい過酷な訓練を積んだおかげで、今までどおりとはいかなくとも、任務に支障がでないくらいには回復した私は自分の屋敷に戻った。
柱合会議の朝、朝食を食べ終えかけたところに客が来た。
こんな朝から誰だろうかと予想しかねていると……
隠「蒼天様、風柱様がいらっしゃいました。」
『かっ、か、かか風柱ぁ!?』
思わず白米を喉に詰まらせそうになった。
『ん"っ……うん、とりあえず上がってもらっていいよ。』
実弥はドタドタと食器を片付ける私を見て固まる
『あっ……えーと、久しぶり』
実弥は部屋から隠が出て行き、二人きりになったのを確認して、私を無言で抱きしめる。
実弥「ンだよ。もう普通に元気じゃねぇかァ」
実弥の顔は見えない。でも凄く心配をかけたんだということは、声色から感じ取れる。
私はその温もりに何故かほっとして、涙が出そうになるのを堪える。
『えへへ、私の回復力が異常なんだってしのぶさんに言われたよ。……てか、心配かけたよね。ごめん』
実弥「無事ならいい」
素っ気ないようで、凄く優しい実弥の声が耳に残る。
『私ね……ずっと実弥に会いたいって思ってたよ。だから今、なんか凄い幸せな気持ちなんだよ。』
「…………俺もだ」
実弥は私の頭をポンと撫でると、あっさりと私を離して、縁側に胡座をかいて座った。
さっきのままでいたかったなんて、言えない。
実弥「何があったかは柱合会議でどうせ聞くからいいけどよォ、もう俺の前から居なくなんじゃねェ。絶対にだ。」
そう言う実弥の背中は少し寂しそうに見えた。
私は彼の隣に座った。
『うん、“鬼舞辻を倒すまで”私は死なないよ。もう絶対居なくならない、約束する。実弥の傍にいたいから。』
実弥「…………あぁ。」
実弥が何か言いたそうだった。それは察しがつく。
鬼舞辻を倒したら……その時、私はもうあの世に行くべきだと思うんだ。
だってその時は、兄と妹と同じところに行けるはず、前世のことも忘れられるはずだから。
そんな未来のことを考えながら実弥の肩に寄りかかって目を瞑った。
今もだけれど、実弥といると胸が高鳴る。これはもしや、恋という病かもしれない。
しのぶさんに診てもらおうか……いや、蜜璃ちゃんに相談するべきかもしれない。
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渚月華 - 面白いです! (2020年5月2日 11時) (レス) id: bd22a3d64d (このIDを非表示/違反報告)
氷壊寺礼(プロフ) - 何…?!「既に投票済みです」だとぉ… (2020年4月11日 21時) (レス) id: ecbea78122 (このIDを非表示/違反報告)
ゆりなんぽん - どうもです。ココさんの言う通り「舞」ではなく「雛」です。更新お忙しいと思います。誤字脱字は他の読者様が気になる方がいらっしゃると思いますので一応指摘してきます。すいません。 (2020年4月11日 19時) (レス) id: 3ac698d03c (このIDを非表示/違反報告)
ココ(プロフ) - とても面白いです!宇随さんのお嫁さんの名前は雛鶴さんだと思います! (2020年4月9日 19時) (レス) id: f80ae667a5 (このIDを非表示/違反報告)
ろんちゃん - 面白です!これからも更新頑張ってください! (2020年4月9日 18時) (レス) id: fc640f7e8a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なるは。 | 作成日時:2020年2月22日 22時