柱の少女は、狙われ体質。弐

陸拾漆【無惨と麗】 ページ19

鬼舞辻無惨side







私が探していた「麗」の容姿をした少女の名は蒼天A。鬼殺隊宙柱として、鬼を斬っている。

そして、彼女は前世の記憶などもっていないと言った。前世で私と会っていたなど、ありえないと。

麗の存在を否定したのだと。







猗窩座と童磨の報告ではそう聞いていた。








数千年前の彼女の言葉を思い出した。

「麗は、私がどうなっても変わらず傍にいてくれるか？」

「勿論ですとも。私は貴方のために持てるの力すべてを尽くし、お傍におります。」

「やはりお前は強く、賢く、美しいな。」

「私は、“生きたい”と誰より強く願う貴方のほうが強く、賢く、尊敬できるお方だと思っていますよ。」





私のことを誰より理解してくれた麗……が、今世では鬼殺隊……。我々“鬼”の敵か。







それ故に私は創りたくもない下弦をもう一度立ち上げ、血を分けてやった。

しかし、麗を見つけたと思えば、霞柱に邪魔をされ壊滅するざまだ。

雑魚鬼共は、麗…いや蒼天Aは、柱であるため強いのだと言い訳する。








まぁいい、やっと童磨が麗を私の前に連れて来たのだから。





目の前に現れた童磨と……麗。

頭を垂れる童磨に比べ、麗はその場に立ちつくす。そして私を怒りの目で見つめる。

吸い込まれそうな蒼い瞳はやはり麗そのものだ。


あぁ、やはり今世での道は違ってしまったのか。麗は……蒼天Aは鬼殺隊なのだな。

気に食わない。




無惨「随分と遅かったな。まぁいい、後で血を分け与えよう。ただし今はAと話がしたい。消えろ。」

童磨「御意」




童磨は鳴女の琵琶によって姿を消し、この部屋には私とAだけになった。

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