陸拾参 ページ15
時透無一郎side
僕は、下弦の肆にとどめの攻撃に技を繰り出す最中、子供の姿が視界に入った。
そしてAは鬼の血鬼術から子供を守った。
子供に迫る尖った針の攻撃(多分毒)を刀で全て斬り払った。
いや、全てじゃない。咄嗟の判断だった故に、刀を握っているAの右手に針が一つだけ、刺さったのだ。
時透「A!!」
直ぐに下弦の肆の頸を斬った俺はAに駆け寄る。毒の効果がどれほどのものかは分からないけど、致死量では無いはず。
『心配かけてごめん、無一郎くん。呼吸で毒の巡りを止めてるから私は平気。
それよりも……君、大丈夫……?怪我、ないよね?』
Aは不安そうなか細い声で子供に問う。
Aのこんなに自信の無い表情は初めて見る。
まだ涙と震えが止まらない子供はコクコクと頷く。
『よ、よかったぁ……』
そしてはっと我に返ったAは残りの一体である下弦の弐に向き直り、怒りの表情を向けた、
『お前は卑怯だ。どうして弱い子供を狙ったの?』
下弦の弐「だって、僕が子供を狙ったのなら、君は身を呈してその子を守ると思ったからさ。
僕の使命は君に血鬼術をくらわせることだからね。立っていられるのも今のうち……」
鬼が言い終わる前にAは下弦の弐の頸を斬った。
そして、Aは刀をしまい終わると同時に膝から崩れ落ちて倒れ、意識を失った。
時透「A!呼吸で毒の巡りを止めてるって言っていたのに、どうして……」
確かに呼吸はちゃんとできている。それどころか、針の刺さった右手に以上もない。
まるでただ眠っているかのよう……。
血鬼術の毒が回ったわけではない。むしろその効力を体内で無効にしたということ?いや、でもならばどうして睡眠状態なんだろう?
首を切られ、崩れていく下弦の弐がぽつりと話す。
下弦の弐「それは、催眠効果の毒だ。効き始めるのにこんなに時間がかかるとは思わなかった……。だが、しばらく目を覚ますことはない……」
その鬼は灰となって消えた。
とりあえず、しのぶさんに見てもらえば分かるだろう。
この様子だと僕がAを抱えて藤の花の家に帰れば問題ないし。
子供を町へ帰し、安堵したその時、何かが目の前を横切り、眠るAを攫っていった。
時透「……は?」
俺は反射的にAを追いかけた。
Aを抱えて走る鬼より先にまわり、進行方向を塞ぐ。
すると鬼は振り返る。その目には“上弦の弐”と刻まれていた。
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渚月華 - 面白いです! (2020年5月2日 11時) (レス) id: bd22a3d64d (このIDを非表示/違反報告)
氷壊寺礼(プロフ) - 何…?!「既に投票済みです」だとぉ… (2020年4月11日 21時) (レス) id: ecbea78122 (このIDを非表示/違反報告)
ゆりなんぽん - どうもです。ココさんの言う通り「舞」ではなく「雛」です。更新お忙しいと思います。誤字脱字は他の読者様が気になる方がいらっしゃると思いますので一応指摘してきます。すいません。 (2020年4月11日 19時) (レス) id: 3ac698d03c (このIDを非表示/違反報告)
ココ(プロフ) - とても面白いです!宇随さんのお嫁さんの名前は雛鶴さんだと思います! (2020年4月9日 19時) (レス) id: f80ae667a5 (このIDを非表示/違反報告)
ろんちゃん - 面白です!これからも更新頑張ってください! (2020年4月9日 18時) (レス) id: fc640f7e8a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なるは。 | 作成日時:2020年2月22日 22時