柱の少女は、狙われ体質。弐

陸拾伍 ページ17

童磨は氷の人形に阻まれる僕に背を向けて去っていった。

時透「A！！」








氷の人形と対峙しながらも、童磨に担がれたAの顔がはっきりと見えた。

時透「……えっ」

Aの意識は戻っていた。しかし、それは童磨そしてAは声を発さず口だけ動かした。

“だいじょうぶ”

Aはそう言ったように見えた。その後にも何か言っていたけど、距離が離れてしまって分からなかった。

でも、最後に口角がちょっとだけ上がってニッと笑っているのは認識できた。この状況でもAには、何か確信と余裕がある。







氷の人形は全て倒した。でももうAも童磨の姿も見えない。






時透「……」

Aはいつから意識を取り戻していたのだろう。少なくとも僕がAの心拍や呼吸状態を見た時に意識はなかった。童磨に担がれた時、偶然意識を取り戻したということになる。





そして……今の状況の僕達では勝てないと認識したのか。鬼舞辻無惨のところへ連れていかれたのなら、鬼にされることだってないとは言いきれない。

それに加えてAの「だいじょうぶ」という言葉。「自分のことはもういいから、心配するな」という意図にもとれる。






……だけどAがそんな弱気なことを言うはずがない。

あの確信と余裕の表情からすると、Aには何か策があるということになる。鬼舞辻無惨達の潜む場所…内側から鬼を殲滅することも不可能ではない。








Aならきっと何か成し遂げるはず。

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