いざ、尋常に

二十六 ページ27

全てを谷沢から打ち明けられたとき、俺はカッとなっていた。

自分でも何を言っているかわからなくて、それでも言葉は途切れることなく飛び出していく。

そんな俺の姿を見て、怯えているようにも見える谷沢。

水をかけられた瞬間、「石川くんに近づかないで！」とかなんとか言われたそうだ。

谷沢は俺の何でもない。いや、何かであったとしても、そんなのはおかしな話だ。文句があるなら俺に言え。第三者に迷惑をかけるために野球をやってるわけじゃない。


「石川にはファンがいっぱいおるんやし、迂闊に石川のそばにおった私の考えが浅かったんや。石川が考え込むことないやろ」


そうは言ってくれるが、それは谷沢の問題だ。もしも谷沢が許してくれたとしても、俺が俺のことを許せない。


「……とりあえず、ちょっと学校には来づらいな」


「アホ言え！ これであんたが学校に来んようになったら、あんたはほんまにアホやで」


とにかく学校には絶対に来い、と言い残したまま、谷沢は走っていってしまった。

二十七→←二十五

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す