二十五 ページ26
私がドアのそばに立つなり盛り上がるような教室。声をかけるのもためらうほどだが、さすがにこの状況となった以上、話し合うほかないだろう。
「とりあえず、出よか」
どちらからともなく駆け足になって、学校の外へと出た。
もちろん体はタオルで拭いた。
「で、なんでお前びしょ濡れやってん」
「……通りかかった女の人にぶっかけられた」
非常に言いづらいことで、石川に申し訳ない気持ちもあったが、だからといって私が我慢するのもおかしな話だ。
対する石川は、小鼻をぴくっと反応させた。
「どういうことやねん」
怒気を含ませた声色は初めて聞くようなものだった。
「前におった女なんか? お前と、俺とでおったときに話しかけてきた女やったんか?」
早口でまくし立てて、今にも掴みかかりそうな勢いで私に尋ねる。
「ごめん、顔は覚えてないんや。でも、私は大丈夫やから」
「何が大丈夫やねん!!」
血相を変えた石川は、我を失っているようにも見えた。
「俺のせいで、俺が野球やってるせいで、谷沢に迷惑がかかるやなんて、あんまりやろ……」
うなだれる姿を見て、私はどう声をかければよいかわからなかった。
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にゃあ - はなつーさん» おー!おめでとうございます! (2020年3月21日 0時) (レス) id: 6c1a3f5f49 (このIDを非表示/違反報告)
はなつー - にゃあさん» ありがとうございます泣 無事合格してました!! (2020年3月19日 20時) (レス) id: 9942ee8606 (このIDを非表示/違反報告)
にゃあ - 作者様が第一志望に合格しますように。 (2020年3月16日 15時) (レス) id: 6c1a3f5f49 (このIDを非表示/違反報告)
にゃあ - 待ってますね。がんばってください! (2019年12月12日 16時) (レス) id: 6c1a3f5f49 (このIDを非表示/違反報告)
にゃあ - 受験生さんだったんですね!かしこまりました。再開されるまで楽しみにしています!がんばってください! (2019年12月11日 1時) (レス) id: 6c1a3f5f49 (このIDを非表示/違反報告)
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