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第弐章 精神裁判開廷__前提 ページ18

でも……、それじゃあおかしいじゃないか。
その仮説には、矛盾がある。

「その仮説は…間違っています」


僕は……、やっぱり真実が知りたい。

「えぇー、また否定?…じゃあ聞かせてよ、その理由を」


「その仮説だと、ハートの女王様は、殺人があるとあらかじめ予測する事は不可能です。
不意をつかれて切りかかってきた白ウサギの包丁を奪って反撃したとしたら、包丁に指紋が残ります」

「指紋を拭き取った可能性は?」

いや、それだと矛盾する…。
これだけ血が飛び散っていたのに、トト子ちゃんにいっさい返り血がかかっていないのもおかしい。
急いで着替えた線もなくはないが、さっきのトト子ちゃんの証言から考えるに、その時間もなかったのだろう。


そう言うと、トド松は顎に手をあてて考えるそぶりをした。

「うーんどうかな。まぁ服の上ならともかく首だからね。
悶着の末、全く血がつかないということは難しそうだね」

「ハートの女王様があらかじめ殺す気であれば、着替えの用意もあるかもしれません。
しかし、前提が殺されるかもしれない側だったなら、現場の痕跡を残さないのは無理です」


「ふーん…偶然返り血を浴びなかった可能性は否定できない…けど、あんまり現実的ではないね。

じゃあ、やっぱりハートの女王が凶器も着替えも用意して、白ウサギを視聴覚室に呼んで殺した
…っていうのが正しいんじゃない?」


「話聞いてなかったんですか!?その前提がそもそも間違いで!
第一発見者だからといってハートの女王様を犯人とは断定できません!


なぜなら、この状況であれば誰でも犯人になりえたからです!!!!!!!」


今日一の大声で叫んだ。

「………………………」

「はぁ…はぁ………」

「わかったわかった、ボクの降参だよ
―――“アリス”くん」


ッ、また、僕のことを“アリス”って……!
僕の名前はアリスじゃない、チョロ松だ。
そう思っているとトド松はそれに気付いたのか、面白そうに笑った。


「あぁ、ごめんね。“アリス”って呼ばない方がいいんだっけ?
じゃあチョロ松くん、ボクの降参だよ」

いかれ帽子屋が、手を挙げた。

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如月慧音花(プロフ) - ひぇ、ありがたいお言葉…!ありがとうございます、頑張ります…! (2020年11月19日 15時) (レス) id: e44a9745ad (このIDを非表示/違反報告)
抹茶 - ずっと待ってますよ! (2020年11月12日 0時) (レス) id: 5aab78de35 (このIDを非表示/違反報告)
如月慧音花(プロフ) - 僥姫さん» 更新できてなくて本当に申し訳ないです。受験勉強がある上に今はこのお話を書くモチベーションが上がらなくて…。本当に申し訳ないとは思っているのですが、待っていただけると嬉しいです (2020年6月24日 17時) (レス) id: dbf5a4fb19 (このIDを非表示/違反報告)
僥姫 - 続きは何処に? (2020年6月24日 12時) (レス) id: b3f17b46d5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:如月慧音花 | 作成日時:2019年12月1日 17時

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