story22 ページ21
着いた頃にはいつの間にか雨も降ってきていた。
そして8年ぶりにみたその工場は使われていないため殺風景だった。
『愛莉!!愛莉いるんでしょ?!』
広い工場の中を名前を呼びながら探すけど、応答はない。
『どこにいるのよ。愛莉。』
諦めかけた時、誰かが横たわってる足が見えて。
瞬時に愛莉だと分かった。
『あ、愛莉!!!』
駆け寄ると、工場の外のシートの上でぐったりしている愛莉。
ずっとここにいて雨に打たれてたんだとしたら、相当体力も落ちてるはず。
さらに愛莉はサプリメント生活だし。
愛莉「A?帰って!!私のことほっといて!」
『ほっとけるわけないでしょ!』
ほっておいてほしいのに、Aは自分の上着を脱ぐと愛莉の体を起こす。
『愛莉にとってこのときどんな思いだったか知ってる。晴好きだったでしょ?私が晴のこと好きって言ったから晴のこと諦めたじゃない?私は本当愛莉に申し訳なく思ってたの。ごめんね?
愛莉は晴人と付き合うよう背中押してくれてるのに私…
晴がここのこと忘れたってこと愛莉がショックよね。愛莉ここにきたときだけ晴のこと好きでいたいって言ってたもん。』
愛莉「バッカじゃないの…そんなこというなら晴人と付き合ってよ!」
愛莉に上着をかけたAは、そのままおぶった。
『それはもうできない。こんな月日がたっていまさら。こんな私を許してね』
愛莉「降ろして…!!」
『危ないから大人しくしてて!私の力で助ける。絶対助けるから』
愛莉が後ろで暴れていると私が躓きそうになった時、前から誰かの腕が伸びてきて。
バランスを崩しかけたAと愛莉を抱き留めた。
晴「何バカでかい声で叫んでんだ」
『覚えてんじゃん。なに嘘ついてんのよ。てか遅いよ』
晴が愛莉を支えると、Aはその場に崩れ落ちた。
晴「行くぞ、車を待たせてある」
『行って…私はもう大丈夫だから』
晴「いや、でも…分かった。すぐに山中を呼ぶから」
朦朧とした意識の中で晴に抱きかかえられたのが分かった。
愛莉「……晴」
晴「今助けてやるからな」
愛莉「やっぱりこの場所覚えてたんだ…」
晴「覚えてるさ、俺たちの秘密基地だ。
ごめんな、愛莉。
お前の気持ちに気付けなくて…気持ちに応えられなくてごめん」
愛莉「ううん…ごめんね。晴、私の気持ち昔からわかってたでしょ?ならいまのAの気持ちもわかるんじゃない?早く私の気持ちスッキリさせてよね」
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ト音記号 - 面白かったです! season2も見ます! (2018年8月4日 9時) (レス) id: 3d84ac0722 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:cana | 作成日時:2018年7月11日 21時