B級隊員は表向き[ワールドトリガー]

47. 〜side.迅〜 ページ47

焦っていた

今日になるまであいつの身には、なにも起こらない未来だけだったのに

今日になって急に出てきて、それが確定した


その未来はツバサが入院している姿

首には包帯が巻いてあって、顔色も悪い


首は敵にやられたとする。そこだけでも抗議をしたいところではあるが、重症ではなさそうだからまだいい

顔色はなんだと言われたら、あいつの体を蝕んでいるあの忌々しい”病気”一択だ

病気が進行したのか？

どちらにしろ、ツバサが入院する未来は変わらない


内部通信を使ってそのことを本人に伝えるのも忍田さんに止めてもらうのも上手くいかなかった


じゃあ太刀川さんに代わってもらうか…？

いやダメだ、違うことをしてまたツバサの未来が変わってしまったら、もう手に負えなくなる



「クソ……ッ」



小さく零した一言は相手のの耳に届いてしまったようで、ヒュースは鼻で笑った


最近ツバサが絡むとどうも上手くいってくれない

今だってそう
勉強会という、ツバサじゃなくてもいいだろと嫉妬したあのときも上手くいかなかった


影浦がツバサを横抱きしてぴったり体が密着したときは嫉妬で狂うかと思った

そこまで読めていなかったおれの非でもあるが


おれはツバサの嫌がることをした。ツバサに刃を向けた

謝るときに”好き”という狡い2文字を使って逃げた

許してくれる未来は見えていたのに、だ

嫌われるのが嫌で、ツバサにだけは嫌われるのが怖い


好きと言ったとき、”はい”という返事が聞きたかった。でもツバサは相槌だけ

ツバサはおれや、おれ以外の好意に気づいている。でも気づいていないフリをする


遠くから聞こえるバチバチという音で、敵の艇が帰っていったのだと確信する

それと同時に、未来が流れ込んできた


ツバサがぐたりと誰かの腕の中で倒れている未来だ

どういう経緯でそんなことになったのかは知らないが、3か所の場所で倒れる未来が見えた

さすがに1人で、それも同時に3か所はキツイな…


可能性が1番高い場所におれが行き、仕方なく他2ヶ所は太刀川さんと三輪に任せることにした

48. 〃 ※→←46. ※

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