ACT43 ページ47
『ショッピ、コネシマ、ショッ……シャオロン、トントン、オス…マン、ひとん……ひとらん？らん、ゾム』
em｢私は？｣
『え、え…エーミール』
em｢素晴らしい！パーフェクトですよ｣
『ぱふぇ…？』
em｢完璧、全員合ってますよ｣
恥ずかしげにAさんははにかんだ。褒められ慣れてないのだろう、ここは元のAさんと変わらないのかな。窓に目をやればもうすっかり夜で、もう少しすれば夕食の時間であった。お腹は空いてないだろう。しかしこのままにしておくのも悪い気がして、死屍累々を起こそうと立ち上がる。
em｢そろそろ夕ご飯の時間ですから、皆さんを起こしましょうか｣
『いや、起こす、起こすの、私が』
名前を呼んで起こしてみたいのだろう、その小さな体躯で通せんぼをしてくる。
em｢そうですか、じゃあ居ない人を呼んできますから起こしてくれますか？｣
『うん』
そう返事をすれば直ぐに踵を返してテーブルに向かっていった。
ドアを開けるとグルッペンさんが立っていた。
em｢どうしたんです？入らないんですか｣
gr｢泣かれるからな、最後に入ろうと思ったんだ｣
肩身が狭いのだろう、そのまま中に入ることを勧めずに立ち去ろうとした。が、彼は当たり前のように着いてくる。
gr｢クラレ先生はなんて言ってた｣
em｢1週間で治るそうです｣
gr｢すぐ治らんのか｣
em｢小さくなるだけで体に負担がかかるそうで｣
gr｢そうか｣
うーむと彼は珍しく唸る。どうかしたかと聞き返せば、例の発作が起きたように目を輝かせた。
gr｢近いうちにまた戦争になると思う｣
em｢またですか｣
gr｢この前の戦争が案外不味かったみたいでな、色々ふっかけてくる国がいるんだよ｣
em｢外交は？言っておきますけど外交の延長線上にあるのが戦争ですからね｣
gr｢勿論オスマンを向かわせた。が、不可侵は破棄だ｣
em｢……【は】？｣
gr｢……目敏いな、まぁいい、その内話そうと思っていたからな｣
そう一息つくと釣り上げていた口角がストンと下がり、つまらなそうな目付きになる。彼をそこまで萎えさせるとは、何が起きたのだろう。自然と首を傾げる。
gr｢後になって和平交渉がきた｣
em｢…良かったじゃないですか。何が不満なんです？｣
gr｢不満？不満か……うむ……別にそうでは…いや、そうもあるか？｣
em｢貴方にしてはハッキリしませんね、珍しい｣
gr｢いやなに……和平交渉の条件として
Aを差し出せ、だと」
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作者名：にゃんとららんらん | 作成日時：2019年6月14日 13時
