散らばったピース ページ3
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「どう転んだら俺を呼ぶ流れになんだよ。」
銀髪天然パーマは相も変わらず死んだ魚の目。
そんな隣に気にせずに、経緯と関係を示しながら根気強く言い訳を続けた。
「旦那ァ、アンタやっぱり桂と繋がり合ったんですねィ。しかも幼馴染ときた。」
「まさかこんなところで釣れるとはな。前々から臭ェ野郎とは思ってたんだ。」
「ざけんな。なんで俺の方に罪が擦り付けられてんだ。前にも善良な市民だって説明したろ?しょっぴかれんならこいつだけ...ってなにテメーまでほっとした顔してんだ!シフト制じゃねぇんだよ!帰ってこい!」
やはり呼んで正解だったらしい。
私よりも銀時に興味を示す一番隊隊長と副長。安堵が表情に出ていたのか、銀時からはクレームがあがるけど。
「こっちは夕方から拘束されてもういっぱいいっぱいなの。助けてくれたっていいでしょ。」
「この歳になってまでホームシックかコノヤロー。めんどくせーことに巻き込みやがって。」
コソコソと耳打ちをするけれど大分状況はよくなったみたい。幸か不幸か、注目を集めてしまう人間はこういう場面でも変に集中されてしまうのだななんて他人事に思える程に。
銀時が言うように、確かにアウェーな状況で知り合いがいてくれたのは良かったみたいだけれど、それよりも子どもたちが心配でならなかった。
まさか塾生の前で捕まるなんて。
隊士らが家へと帰したとは聞いたけど、保護者達にはなんて説明をしたらいいだろうか。
それよりも、泣き声響く中で師匠が捕まるなんて。
脳裏に焼き付いて離れないあの地獄絵図は...
巡らせる今日の記憶に被さって、どこか重なる記憶がもう一つあることに気付き、私ははっと顔を上げた。
似たような出来事を、前に私は経験してる...?
「...ねぇ、銀時....」
どこかで散らばったのピースが繋がろうとした時、なにかが私の言葉を詰まらせる。
それは容易にその話を、その記憶を覚ましてはいけないと語りかけてくるようで。
呼びかけただけで中々その後が出てこない私を、銀時はじっと見つめてくる。
そんな中で声が上がったのは私でも銀時でもなく、一番隊隊長だった。
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NUTS Y(プロフ) - 素敵な話をありがとうございます!できれば続きを書いてほしいです (3月11日 16時) (レス) @page6 id: f725ce1dcf (このIDを非表示/違反報告)
いと(と)(プロフ) - すごい話が面白くて読みやすく、つい一気読みしてしまいました。また素敵なお話を更新してくださる日をまってます! (12月9日 8時) (レス) @page5 id: cba6bd506c (このIDを非表示/違反報告)
名無し18156号(プロフ) - すっと話が体に入ってくる感じ、すごく面白くて大好きです。続き待ってます。無理せず頑張ってください。 (12月3日 13時) (レス) id: 83faa383a3 (このIDを非表示/違反報告)
スマホ依存ウイルス対策教信者の猫 - ドキドキする感じだけど主人公が読んでいてイライラしないちょうどいい加減でよりスクロールしたくなる反応をしてくれるところがすごいなと思いました(?)。よくわからない文になったのですが、とにかくテンポが良くて好きです。無理しない程度に頑張ってください! (12月2日 23時) (レス) id: 8ecf60fb07 (このIDを非表示/違反報告)
読者 - ずっと泣きながら読みました、すごすぎます。大好きです (9月25日 1時) (レス) @page4 id: da146440ac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:□白澤□ | 作成日時:2023年9月13日 6時