九話 顔が熱い ページ9
「とにかく、いつまでもここにいてはなんですから場所を移動しましょう。立てますか？」
「は、はい……なんとか」
私はグレンさんに手を差し伸べられて立ち上がる。右足は体重をかける度にズキズキ痛むけどなんとか歩けるだろうか。
「アルバート様。もうすでに昼食の用意ができております。旦那様もお待ちですのでここは自分に任せてお食事へどうぞ」
「あ、ああ……じゃあソフィア、またな」
「はい、また」
笑っていた顔を一瞬曇らせるとアルバート様は去っていった。
ん？『また』ってなんだ？正体バレたからもう来ないってわけでもないってこと？伯爵家のお坊ちゃまはこれからもド平民使用人に会いに来るってこと？
そんな考えに思わず苦笑いをしていると、
「なんですか、その変な顔は。先程も言いましたけど、あなたは使用人として……」
「はい！わかりました！わかってます！気をつけます！」
なんだか長くなりそうだったので話を遮ると顔をしかめながらも『まあいいです』とグレンさんは言った。
「では、移動しましょう。あなたの部屋に行って傷の具合を……」
そう言いながら前をスタスタと歩いていくグレンさんについて行くも足が痛くてなかなか思うように進まない。
ひとりもたもたしていると、こちらに気づいたグレンさんは私をひょいと横にして抱き上げた。
「すみません、失礼します」
「えっ、ちょ、あの」
「この方が早いですし、足に余計な負担がかからないでしょう。部屋はどちらですか？」
グレンさんはなんてことない顔でずんずん進んでいく。兄以外の男性にこんなに密着したことはないため、なんだかとても恥ずかしい。顔が熱くなってきた。
「あの、重いですし下ろしてください。それに他の誰かに見られたら……」
「あなたほどの重さに耐えられないような身体の鍛え方はしていません。今は昼休憩で皆さん食堂に集まってますから誰かに見られることはほぼないでしょう。だいたい見られたからなんだと言うんですか。自分はけが人を運んでいるだけです」
「ソ、ソウデスネ……私の部屋は105号室です」
「わかりました」
喋りながらも、少しも息を乱さずにグレンさんは私を部屋まで運び入れた。
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お芋(プロフ) - シャル＠如月唯奈さん» 読んでいただいて、ありがとうございます！お褒めに預かり光栄です！頑張ります。ありがとうございます！！ (2019年9月18日 19時) (
レス) id: 105c0e2da2 (このIDを非表示/違反報告)
シャル＠如月唯奈(プロフ) - イベント参加ありがとうございます！早速読ませていただきました！凄く分かりやすくて良い小説ですね！何より主人公かわいい(*≧з≦)これからも更新頑張ってください〜 (2019年9月18日 19時) (レス) id: 0214723abe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：お芋 | 作成日時：2019年9月6日 17時
