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八話 正体 ページ8

私は自制することを忘れて、お嬢様をキッと睨んだ。

「もうこんなことやめてください!あなたの相手を毎日しなきゃいけないおかげで仕事が進まないんです!」

いつもは何も言わず微笑むだけの私が反論してきたことにお嬢様はひどく驚いていた。

「あなたはこうして遊んでいるだけでいいかもしれませんが、私は働かなきゃいけないんです!それをわかっていますか?!だいたい、いつも私がどれだけ……痛っ!?」

怒りながら立ち上がろうとした瞬間、右足に激痛が走った。転んだ瞬間、足をひねったのだろうか。急な痛みに思わず黙って蹲る。
その様子にお嬢様は心配そうに駆け寄ってきた。

「あ、足が痛むのか?ごめん、やりすぎた……」
「そうです。さすがにやりすぎですよ、アルバート様」

急に背後から聞こえた低い声にぎょっとして振り向く。
そこには艶やかな黒髪に眼鏡の奥から見える漆黒の瞳をもった男性が立っていた。



「げっ、もうバレたか」
「バレたも何も最初から気づいておりました。別にここから脱走しないなら、と静観しておりましたが今回はやりすぎですね。女性を傷つけるのはいくら相手が平民であっても褒められたものではありません」

口調がいきなり変わったお嬢様と淡々としゃべり続ける男性。

「あ、あの……」
「だいたい、あなたも怒れるならちゃんと始めから怒りなさい。あんな感情丸見えの表情をしていては使用人として失格です」
「す、すみません」

なんで私まで怒られてるんだろう。完全に被害者なのに。というかそれよりも……

「あ、あの、今『アルバート様』って……」

聞き間違いじゃなければ、もし私の想像通りなら、この『アリスお嬢様』は……

「ああ、俺の名前は『アルバート・ルズベリー』。この家のかわいい次男坊で、得意なものは変装と脱走!『アリス』は俺の女姿の時の名前な!」

聞き間違いじゃなかった。想像通りだった。

「申し遅れましたが、自分はグレン。アルバート様の専属執事をしております。まさかとは思ってましたが、本当に今まで気づいていなかったんですね」
「まっっったく気づかないから、俺めちゃくちゃおもしろかったぞ!」

淡々としゃべる執事とニコニコ楽しそうに笑うアリスお嬢様、改めアルバート様に見つめられ、私は頭を抱えていた。

九話 顔が熱い→←七話 限界



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設定タグ:使用人 , メイド , 貴族   
作品ジャンル:ラブコメ, オリジナル作品
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お芋(プロフ) - シャル@如月唯奈さん» 読んでいただいて、ありがとうございます!お褒めに預かり光栄です!頑張ります。ありがとうございます!! (2019年9月18日 19時) (レス) id: 105c0e2da2 (このIDを非表示/違反報告)
シャル@如月唯奈(プロフ) - イベント参加ありがとうございます!早速読ませていただきました!凄く分かりやすくて良い小説ですね!何より主人公かわいい(*≧з≦)これからも更新頑張ってください〜 (2019年9月18日 19時) (レス) id: 0214723abe (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:お芋 | 作成日時:2019年9月6日 17時

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