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旅人は哲平に連れられて軍内を観に行った。

僕はと言えば単独で軍を見て回り、邪眼が広まっていないかの確認と民らの治療に回った。

やはり兵士は傷が多く、この戦いがどれだけ大きなものか分かる。

それでも傷を負ってもやめない、諦めない民たちの姿を見ると本当に好きだなと思う。

僕が民を好きな理由を久しぶりに思いだした。

どんな苦境に呑まれても劣勢に立っても、強い信念と共に立ち上がろうとする姿勢。

人との繋がりの中で生まれる愛情や友情、一人一人の民の生き方は本当に素敵だと思う。

だからこそ守りたいと思ったし、永くあってほしいと思う。

神柱は本来神の信仰を安定させるためのものだったけど、契約を重ねるにつれてここまで管轄が広くなった。

神から神の目持ちの民へ、神の目持ちの民から全民へ。

そして今、民と向き合えているのが心から嬉しい。


「おぉ!俺の腹の傷が綺麗に治った!」

「俺の壊死しかけてた足も治ってるぞ!」

「あぁ、ありがとうございます…貴方様は神様だ!」


神柱になる前に当たり前に行っていた浄化行為、今はこんなにも喜ばれる。

稲妻は仙人の記述や古書なんかはないし、あっても璃月から輸入したものばかり。

それに僕は魈たち仙衆夜叉よりも遥かに下位の力の弱い仙人だから、記述がないのも頷ける。

今では神を支えるような存在にはなってしまっているけど、僕が神になるようなことはない。

だからこそ神様だと崇められるのは少し、というか物凄く違和感がある。


「僕は神様なんかじゃないよ。稲妻の神は将軍なんだから」


今の稲妻は様々な思惑が渦巻いている。それが晴れた時また稲妻は一歩進めるだろうな。

稲妻の神に、温かい信仰を戻す事が今の僕の使命。

目の前の愛しい民に微笑みながら浄化を行っていると、一人の兵士が焦った様子で駆け込んできた。


「た、大変だ!幕府軍の奇襲だ!」

「何だと?!何処だ!」

「こっちだ!武器を持てる者は俺についてきてくれ!」


一気に緊張感が走り、奇襲先へと殆どの者が走っていった。

ドクドクと嫌な気配が辺りを包んだ。旅人たちも走って行ったのを見て、僕も後を追いかけた。

急いで後を追いかけた先で、雷雨の鳴り響く中睨み合っている両陣営。

九条裟羅率いる幕府軍と、ゴロー率いる抵抗軍。軍師の珊瑚宮はまだいないらしい。

これは民の問題だ、僕の出る幕ではないと岩陰に隠れた。

魔神戦争とは違う命を落としやすい民ら同士の戦いに目を背けたくなった。

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作者名: | 作成日時:2023年9月17日 22時

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