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邪眼工場から出た瞬間、空気の綺麗さに酷く感動してしまった。

雷雨は続いていれど外の新鮮な空気が堪らなかった、最高か。

あんまり長く滞在していたつもりはなかったけど、外はすっかり暗くなっていてどこからか花火の音もしていた。

稲妻は雷雨の場所とそうでない場所で天候が思いっきり変わるからなんとも不思議だ。

少し移動して雷雨の影響がない場所に行き、座って花火を見る。

稲妻の長野原という花火は大陸でも有名で、その輝きと迫力は流石としか言いようがない。

作っているのは炎元素を持つ宵宮という民だったと思う。

海灯祭で見る花火とはまた違って見える。


「魈と一緒に見たいな…」


まだ魈と離れて数日しか経ってないのに、もう恋しい。

璃月に居た時間が長かったと言えど経験した出来事もいつもより濃かったからか、触れ合う時間が少なかった。

魈の元にいる時間が少ないのは、この立ち位置と責任を恨まざるを得ない。

これじゃあ神子に何か言われても言い返せないじゃないか。

仙人の恋愛本なんて出されたら堪ったもんじゃない、やめておこう。

終わりつつある花火を見ながら遠くで今も頑張っている魈に思いを馳せた。

明日は旅人たちの様子を見に行きつつ稲妻めぐりをしよう。

重鎮に会えてもそこで暮らして色んな事を感じている民の姿を見るのもまた神柱の仕事だろう。


「はぁ…綺麗だった…花火っていいなぁ」


感嘆の息を漏らしながら立ち上がる。あんまりにも綺麗だった。

神が望む永遠とは正反対かもしれないが、ずっとこの花火が続いているのが人の想いの証拠だ。

影もいつか、この民たちの永遠の想いに気が付いてくれたらいいな。

そんな事を思いながら神子の所に戻った。

―――――――

「神子〜、ただいま」

「戻ったかA…おや、その手に持っておるものは」

「油揚げだよ、神子がいつも買ってる所で買ってきた」

「なんと!やはりAは最高じゃの。どれ、折角じゃからきつねうどんにしようではないか」

「言うと思った。にしても今日は一段と機嫌がいいね」


僕が買ってきた油揚げを片手にほくほく顔の神子に尋ねると、とても面白そうに笑った。


「ふふ、何せ待ち人が来たのじゃ。妾は存外気分が良い」

「待ち人?…もしや」


言おうとした途端果実を口に押し付けられる。


「妾からすれば、お主も計画の一柱なのじゃ。あやつを救う為ならばどんな手でも使ってみせる」


不敵に笑った神子はどこか寂しそうだった。

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作者名: | 作成日時:2023年9月17日 22時

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