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凶器を振り回しながらこちらに向かってくる民を一瞥し、空高く飛びあがり落下攻撃を与える。

そのままの勢いで回し蹴りをし、引き抜いた槍をぶん回す。

6人程遠くに飛ばし、近くにいる2人の敵を氷元素を付与した槍で一気に叩く。

たじろいだ所を逃さず突き、2人落とす。そのまま辺りに氷元素を撒き、吹っ飛んで行った敵に突っ込んでいく。

数突きし、もう一度落下攻撃を仕掛ける。着地したと同時に背後を取られまいと後ろを向くと何故か敵はもう倒れている。

雷元素と超拡散が起こった痕跡。そして目の前に佇む褐色の民が全てを物語っている。

雷元素の神の目、特徴的な服装。情報通りだ。


「…大マハマトラ、セノ」


呟くように零すとセノはこちらに振り向き、僕をじっと見据える。

数秒の沈黙が流れた後、セノは真っ赤な瞳をゆっくりと閉じてその場に跪いた。


「お会いできて光栄です、神柱様」

「…セノ、顔をあげて。助太刀ありがとう、そんなに畏まらないで」

「いえ、そういう訳には…」

「君に色々聞きたい事があるんだ。堅苦しいと話も進みずらいだろう?」

「…では、そうするとしよう」


そう言って顔を上げたセノは、想像よりもとてもいい子だった。

真っすぐな瞳を見ればわかる事だ。神に目線まで向けさせた者だ、そりゃあ多少はいい子か。

マハマトラの基地にと言われたが、この話が他の子に渡ると割と危険なので丁重に断った。

砂漠のど真ん中、流石に暑すぎるので薄い氷壁を張らせてもらった。セノ寒くないかな。

混乱を防ぐ為に色々大事な事は隠しつつ、教令院の中で何か不可解な事がないか聞いてみた。


「不可解な事…か?」

「うん。ほんの些細な事でもいいんだ…重鎮たちの動きとか、人の出入りとか」

「妙に具体的だな」

「えっ…あ、いやぁ…」


言い過ぎたとたじろいでいると、セノはふっと笑い思い当たる事をいくつか話してくれた。

流石多くの情報を握る大マハマトラというべきか。


「賢者達が…ね。花神誕祭もないんだ」

「理由を問えど掛け合わない人間が殆どだ。教令院の人間には注意した方がいいだろう」

「だよね。僕もそう思ってた所」


ありがとう、と言うとセノは少し神妙な面持ちで呟いた。


「言えないのなら構わないが…何かあったのか?」

「へ?」

「神柱様が人間と交流するのはとても珍しい事だから、何かあったのかと」

「あぁ〜」


そうだよなと思いつつ事の全貌は言えないから、もしかしたら、と続ける。

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作者名: | 作成日時:2023年9月17日 22時

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