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「えっ…と、何この状態」
「まぁそう言ってやるな…こ奴なりの精一杯の謝罪なのじゃ」
「えぇ…」
神子に呼ばれ、鳴神大社に行くとそこには大量の稲妻の甘味と頭を畳につけた影が僕を迎えた。
困惑しまくりの僕に神子は、今までの謝罪として影が甘味を用意した事を伝えてきた。
「Aは甘い物が好きだった事を思いだして…その、あの…」
僕を前にした影は焦った様な、酷く申し訳なさそうな顔で再び頭を下げた。
俗世の七執政が声を小さくしながら頭を下げる相手なんて歴史上にいただろうか。
「…影」
僕がそう呼ぶと目の前の彼女はびくりと身体を揺らした後、動かなくなってしまった。
僕は彼女の前にゆっくりと跪く様な体制を取り、頭を軽くチョップした。
「はい、これでお相子」
「…え？」
吃驚した影が弾かれる様に顔を上げた。理解できないという顔をしている。
この顔は、万葉に許された時の僕の顔だ。ふっと笑いが込み上げた。
「影はさ、何を申し訳ないと思ってくれてるの？」
「貴方の話も聞かずに追い出した事、酷い態度を取ってしまった事…です」
そう言って彼女はまた徐々に顔を伏せる。僕はそんな彼女の頬を持ち上げた。
「僕は影に対して怒った事なんてないよ。影は神として自分を貫いて成長した、それだけだろう？」
「え、いや…あのA…？」
「あぁでも、折角の影の好意だし、これだけ貰うよ。後は影が食べなよ」
そう言って僕が団子牛乳を手に取った。影は困惑した様子で僕を見つめている。
するとずっと黙っていた神子がくすくすと笑いながらもう一つの団子牛乳を取った。
「ほれ言うた通りじゃろう？こ奴はこんな事でお前に怒る様な奴ではないと」
「…しかし、これでは私が納得できません」
珍しく食い下がった影は、拗ねた子供の様に顔を顰めていた。
「うーん、そんなに言うなら…一つお願いしてもいい？」
「はい、なんでも！」
影はパッと顔を明るくし、同時に安堵した顔つきになった。
こんなに許しを請う程僕の事を大切にしてくれていた事が分かって凄く嬉しかった。
こんなにも優しい影が、安心して前に進めるように。僕の願いは一つ。
「この先も、僕の友達で在って欲しいな」
影はこれでもかという程目を見開いた。そして観念した様に息をつき、そして花が開く様に笑った。
「そんなの、私からお願いしたい程です」
その言葉に満足した僕と神子は影に団子牛乳を持たせ、人知れず3人で乾杯した。
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作者名：光 | 作成日時：2023年9月17日 22時
