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力を抜いて息を吐くと、一気に天候が元の状態へと戻る。
力を解くと一気に疲労感が溜まると同時に、後ろの民の様子が気になった。
神柱だとか一切口にしていなかったし、ましてや万葉になんてずっと黙ってきた。
違う感覚で一気に空気が冷える、どうしようか。
「…お主、何者でござるか」
「A…お前」
ゴローと万葉が静かに問いかけてきた。その声色は少し疑念が含まれている様に感じた。
それはそうか、と自分の中で消化し、腹を括って後ろを振り向いた。
「…改めて、僕は神柱のA。セレスティアの者だ」
なるべく顔を見ないように笑顔でそう言うと辺りが静まり返る。おかしいなと思って目を開けると全員首を傾げていた。
「そうだった、稲妻は神柱の存在全然知られてないんだった…！神里兄妹や心海が知ってたから忘れてた…」
「な、なんかすまない…」
「いやいいよ…僕こそごめん気にしないで」
ゴローが拍子抜けして項垂れた僕に申し訳なさそうに困惑した様子で謝ってきた。
あんな堂々とにこやかに誰も知らない役職を言ったの恥ずかしすぎる…無理嘘だけど帰る。
困惑している皆に、とりあえず神柱の事を話した。
「えっと、つまりA殿は元素や拙者達の持つ神の目に深い縁があると？」
「で、Aは俺たちよりも凄く長生きで、璃月の元仙人…」
情報を整理し始めた二人はそう言い切るや否や顔を青くしていた。
分かる訳ない、でもごめん！と二人は地面に手を突きそうな勢いで謝ってきた。
僕の近くで元素を使っていた事を申し訳なく思ってくれたらしい。優しい。
「二人が謝る事じゃないよ、立場上痛みを背負う事は当たり前だし…それに神の目の保持者と話すのは初めてに近いし」
知らなくても無理はないと全力で二人や民に非はない事を語ると少し安堵した顔つきになった。
「…そういう万葉は、怒らないの？」
「ん？何故拙者がA殿を叱らねばならぬのだ？」
「いや、神の目関連で身分を騙ってた訳だし…」
思いの加減は分からずとも神の目の時間を多少弄る事なんて造作もない事だった。
でも、僕は協力しなかった。万葉に旅とその子を想う事を忘れて欲しくなかったから。
でもそれは僕の自己満足だ、万葉からしたらいい迷惑だったのではないだろうか。
「…そうさな、A殿が意味もなくその様な事をする御仁ではないと理解しているからであろうか」
万葉はもう輝かない神の目を握って優しく囁く様に言った。
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作者名：光 | 作成日時：2023年9月17日 22時
