検索窓
今日:45 hit、昨日:8 hit、合計:11,600 hit

ページ17

変な体制で突き飛ばされてしまい、階段から落ちる僕。

衝撃を待つ様にきつく目を瞑っていたが、硬い地面の感触はなく布の擦れる音だけがした。


「大丈夫でござるか?」

「あ、りがとう…」


万葉に抱き留められていて、吃驚して感謝の言葉が少し詰まってしまった。

万葉はそんな僕を見てクスクスと笑い、そっと降ろしてくれた。

正直璃月じゃなくてよかった、ここが魈のいない稲妻でよかった。

昔、同じような形で民に助けて貰った事があった。それを見ていた魈が民に妬いた事がある。

あの時の分からせ様は酷かった、洞天から何日も出られなくなった期間だった。


「旅人は、将軍の…影の一心浄土に入ったのか」


居なくなってしまった旅人は、きっと確実に今影に謁見している最中だろう。

稲妻の未来の為に、影の為に。行きたい気持ちはあるけど、今は他に片付けるべき事がある。

僕が睨んだ先には、城への石道を一気に駆け上がってくる残りの幕府軍の者達。

抵抗軍も体勢を立て直し、一気に両軍睨み合いへと発展してしまった。

幕府軍には今裟羅もおらず、抵抗軍に城に攻め入られる一歩手前だ。相当焦っているだろう。

でももしも、稲妻の未来が変わるのならば、影が変わるのならば。


「…今ここで、血を流させるわけにはいかない」


神の目の力も戻ったのだから、余計に激しい戦いが起こってしまうだろう。

これ以上、大事な民が傷つく所なんて見たくもない。


「…A殿?何処へ行くでござるか、そっちは!」


万葉の呼びかけを無視して、抵抗軍の兵士の間を通り、両軍の中間に立つ。

抵抗軍の兵士は驚いた様に、幕府軍の兵士は怪訝そうに僕を見つめている。


「誰だ貴様は!貴様の様な若い部外者が我等に口を挟もうというか!」


幕府軍の体格の良い兵士がそう言って僕に刀を突きつけた。

僕はそれも無視し静かに掌から槍を生み出し、自身の氷元素を一気に最上へと力を高めた。

辺りが途端に冷える。一気に最上へと力を高めた事で冷風で吹き飛ばされてしまった兵士もいた。

生温い空気が一気に冷え、僕が一番力を出しやすい気候へと変化した。


「…我が名は神柱、雷神の思し召しにより参上した。雷神は謁見中だ、騒がしいぞ」


睨みを効かせると怯えか寒気か、一気に震え上がる兵士たち。


「下がれ」


低くそう言うと幕府軍は分が悪いと思ったのか直ぐに撤退して行った。

こんな物言いをしたのは久しぶりだ。あんまり高圧的な態度は取りたくない。

・→←・



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (21 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
95人がお気に入り
設定タグ:原神 , 男主 , &39752;
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名: | 作成日時:2023年9月17日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。