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少し軋む体を労わりながら飛んでいると、鳴神大社に着く。
神社で飛ぶのは不敬だと思い近くの階段から歩いていると凄い勢いでぶつかられる。
本調子じゃない体に衝撃が響く、凄く痛い。
「す、すまない!」
その子は振り向きもせず焦った様な動揺した様な様子で一目散に城の方へ向かっていった。
あのお面と姿は確か九条裟羅、という事は旅人達は間に合ったらしい。
「よいしょ。あ、神子久しぶり」
「お主はもう…はぁ、言うても聞かぬか」
「え、なんでため息つくの」
げんなりとした顔の神子に迎えられ、挙句溜め息までつかれる始末。
旅人が僕のあり様を話したらしく心配を通り越して呆れてしまったと。
解せないな、なんて考えていると突然旅人に腕をむんずと掴まれ引きずられる。
「え、ちょ、旅人何?」
「行くよA」
「ごめん旅人、主語を下さい」
「私たちも九条裟羅を追いかけに行くよ!」
「もたもたしてるとまた探す羽目になるぞ!」
そういって神子にまともな挨拶もできないまま、僕はすぐに鳴神大社を後にした。
走るのも疲れるだろうと思って瞬間移動させると、そのままの勢いで旅人たちは九条家に突撃した。
何とか追いつけたのか裟羅と門前で一緒になり、当主に真実を聞く為に乗り込んだ。
九条家の武士たちが抵抗してきたが流石としか言い様がなく、秒で片付いた。
そして九条家当主登場、これまた癖の強い民だった。
「将軍様の無想の一太刀私たちにはあるのだ!」
影を見ている様で本当は影の力しか見ていない目の前の民を見ているとやるせない気持ちになった。
でもきっと、影はこの事さえ知っているだろうし永遠の妨げにならなければいいと思うんだろう。
真実を全て知った裟羅は将軍に会う為に本丸に向かっていき、旅人もそれを追いかける為に出て行った。
僕も旅人を追いかける様に屋敷を後にしようとしたが、少し気に食わない所があったので伝えてから行こうと思う。
「九条家当主、僕の身分は知っているね?」
「はい。神柱様だと聞いて…」
「ならば話は早い。次に己の利益の為に神を騙す様な行為をした時は落雷が貫く、その身に留めていろ」
睨みをきかせて威圧的に言うと怖気づいた九条家の当主は縮こまった。
僕が稲妻の民を直々に裁く事はないが、影にこれ以上影響が出ない様にと。
「す、凄い上の者って感じがしたぞ…」
「Aはほんわかしてるけど仙人だし神柱だもんね…」
旅人達に見られてたのは後の話。
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作者名:光 | 作成日時:2023年9月17日 22時