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「はぁ…なるほどね、心海は勤勉だ」

「そんな事はありません…本を読むのが好きなだけですから」

「古書にも手を伸ばす民って少ないんだよ、趣味があるのも素敵だよ」


そう言うと心海は照れくさそうに笑った。

聞けば心海は読書家で璃月から輸入された仙人の古書を読み、その中に1頁しか書かれていなかった神柱の記述に目を通していたらしい。

様々な本を読み漁り、神柱や浄化仙人の記述を集めていた、と。凄くマニアだ。


「私は戦うというよりは回復系ですから、完全な治癒力を持っている神柱様基浄化仙人様にとても興味があったのです」


そう言いながら心海は古書を本棚にしまった。

旅人たちは僕の少し前にここにきて、メカジキ二番隊の隊長に指名されて流浪者の対処に向かったそう。

凄い燃えてるじゃん…無理はしないで欲しいな。

それよりも、とここにきた理由の邪眼について心海に話そうとすると、心臓が途端にズクリと痛み始めた。


「っが、あ!!」

「し、神柱様!どうされたのです!?」


突然倒れ込んだ僕を心配して慌てて駆け寄ってくる心海。

だけどこの痛みがアレならば近くにいる心海も危ない。


「触るな!!」


めいっぱい叫ぶと心海は驚いた様に肩を震わせた、大きな声出してごめんね。


「今すぐここから離れて!早く!」

「っわかりました、どうかご無事で!」


僕の切羽詰まった表情と声色から察した心海は急いで階段を下りて行った。

これで心海に危害が及ぶ心配はなくなった、どうか誰も来ないでくれ。

この痛み、200年毎に経験するこの痛みはセレスティアに送還される痛みだ。

一番大事な心臓さえあればいいと言わんばかりの心臓を引っ張られる痛み。

周囲の元素が集まって、周囲に雷を落としながら僕の周りにシールドを作っていく。

まだ送還される時間じゃない、まだ俗世の七国を回りきってない。


「天理…まだその時じゃありません、天理!」


シールドごと宙に浮いた僕は必死に抵抗しながら天理に呼びかけた。

激しく重たい痛みで浅い呼吸しかできない、それでも叫び続けた。

まだやらないといけない事が残っている、ここで帰るなんて絶対にできない。


「契約を破るおつもりですか天理!」


地上から遠く離れ、物凄い高さまで来た時にそう叫ぶと浮上がぴたりと止まった。

瞬間、僕は地上へと投げ出されてしまった。

朦朧とする意識の中、飛ぼうとも思えない様な痛みの中


「神柱よ、驕るな」


天理の声だけが頭に響いていた。

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作者名: | 作成日時:2023年9月17日 22時

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