【utit】玉響の現、蜃気楼が魅せた夢【短編集】 (ページ10)

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【Mfmf】機械仕掛けの天使と探検家【Srr】ページ10

遅くなりましたがそらまふ八周年おめでとうございます。

夢主は居りません。
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Mfmf side

… たまに、夢を見る。

誰かと一緒に歌って、それで沢山の人を幸せにする。

大勢の人の前に立って歌って。目の前には沢山の光があって、それが星空の様に見えて。

沢山の人が笑顔でいる … そんな夢。

そしてそんな夢から覚めると、僕はこう思わずには居られないのだ。

　

―――――――いつか僕もそんな所に行きたい。

って。

… 嗚呼 …

「 … 今日も夜が明ける。」

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この世界は科学が発達している。

昔では “ マホウ ” と呼ばれていた事も今では簡単に出来てしまう。

… そう、僕の様な “ 機械仕掛けの天使 ” を作る事だって造作も無い事なのだ。

… と言っても僕は何者にも成れやしない “ ケッカンヒン ” 。機械の翼が着いた、ただニンゲンを模しただけの機械だった。

ただ此処(実験施設)で廃棄処分される未来が決まった内の一つの機械に過ぎない。

此処でその未来を待つ事しか出来ない一つの機械。逃げ出そうにも “ ニセモノ ” に捕まって予定より早めに廃棄されるのがオチだ。

僕はそれを何度も見たから。何度も何度も助けを求める声を聞いてしまったから。

“ ホンモノ ” どころか “ ニセモノ ” にすらも成れず、 “ ケッカンヒン ” にしか成れなかったモノが助けを求めてはいけない。

… 夢なんて、希望なんて持ってちゃいけない。

それに必死で縋りついて、叶うことがないと知った瞬間絶望して。

… 馬鹿馬鹿しいと思った。だってそうじゃん。
必死こいて縋りついたモノに蹴落とされて絶望する。その姿は第三者から見たら実に馬鹿馬鹿しく、そして滑稽で。

… そして何時しか此処に居るモノは全員、夢と希望を見ることが無くなった。

皆気付いてしまった。そんなことをしている馬鹿らしさに。

気付いてしまったのだ。

此処を出たとて、行く宛なんてないことに。

「 … 夢のまた夢か見果てぬ夢 … 」

夢で聞いた音楽を口ずさむ。

… 誰か僕を此処から連れ出してはくれないだろうか、なんて思いながらもそんなことする人何て居る筈ないとその思考を断ち切った。