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「 … やっぱり覚えてないんですね。 」

「 は?どういう … 」




“ どういうこと? ” そうきこうとしたとき、その子はかなしそうにわらっていたきがした。




「 … ねえ、貴方の仕事は? 」

「 … ぼくのしごとは … 。 」




そこから先のことばがまったくでてこなかった。

… ぼくのしごと?なんだっただろう。


あれ?おかしいな。すごくたいせつなものだったはずなのに。

とてもたいせつな人たちとであえただいすきなしごとだったはずなのに。

今はもうおぼえていないなんて。




「 その(現実)すら溝に捨てたのは一体何処の誰ですか。
… ねえ、 」




“ もう知ってるんでしょう? ”


その瞬間目の前を覆っていたモノ(・・・・・・・・・・・)がなくなった気がした。


… ああ、そっか。そうだった。

顔を覆っていたのは夢に縋って現実から逃げていた僕だ、弱い自分だ。

… そうだね、僕はもう答えを知っていた。


面積比の公式は … 忘れちゃったけど、そんな学生の頃に教師から習った平面上の公式なんかより忘れちゃいけないものがあった

子供の頃の夢は … 沢山ありすぎて分からないや。強いて言うなら科学者になって両親の寿命を延ばしたい、とかあったな。


… 僕の仕事は人の心に寄り添える音楽を作って、みんなでわいわい楽しく “ まふまふ ” として活動すること。



… ありがとう。

目の前の子 … もう一人の自分は今度は顔がはっきりと見えた。

いってらっしゃい。そう微笑んで言ってくれた気がした。

――――――――――――
No side

真っ白な部屋に機械的な音が一定のリズムで音を刻む。

そこにはベッドが設置されており、白髪の男性が眠っている。

… 相川真冬。ネットでまふまふとして活動しており若年層に莫大な人気を誇っている彼はここ半年、一回も目を覚ますことなくずっと眠り続けていた。この一定感覚で刻まれている機械的な音がなければ亡くなってしまっているんじゃないかと錯覚してしまうほど静かに。


そんな彼が寝ているベッドの近くの椅子には腰かけている黒髪の男性は一ノ瀬彼方 … もといそらる。

白い彼が寝たきりになったことを発見したのは青い彼で、それ以来白い彼のもとに来ては彼が目を覚ますのをずっと待っていた。




「 … 今日も起きない … か。 」




あの時ああしていたら。あの時こうしていれば。

そんな意味のないたらればが彼の頭を過る。

そんなときだった。

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作者名:吹雪咲彩 x他1人 | 作者ホームページ:無い  
作成日時:2021年8月27日 1時

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