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─────十数年前
『 今日は何して遊ぼっか! 』
『 … ね、Aちやん、君は―――――― 』
元気よく何をするかと聞いてきた彼女に対し、僕はずっと思ってきたことを聞いた。
会話は成り立っておらず、きっと彼女は疑問を持ったかもしれない。が、僕は “ 君はどうしたい? ” と続ける。
彼女は何をいっているのかわからないといった様子で僕を見ていた。
『 … この世界を出たらの話! 』
不自然に思われないように僕は笑った。言えるわけないじゃないか。君はもうすぐ死ぬかもしれないだなんて。
『 ねえ、Aちゃん。 』
彼女は僕に名前を呼ばれるとキョトンとした顔で見つめてくる。
『 もし、お父さんとお母さんのところに帰れるんだったらどうする? 』
『 !あのねあのね、私ね、お父さんとお母さんと一緒にお外で遊びたいって思っててね … ! 』
これだけは決まっていたとでも言うように彼女はにぱっと可愛らしく笑った。
… ああ、やっぱり … 。
やっぱり、君にはまだ此方に来てほしくない。
君には … もっと生きて、外の世界を見て幸せになってほしい。
君は 僕と違ってあの世界に必要とされるから 。
だからね、お願い。
『 Aちゃん、約束だよ。 』
『 … え … ? 』
未来で幸せになるのは僕じゃなくていい。だから君は … 否、Aちゃんだけでも。
『 … 幸せになってね。 』
その瞬間、辺りは風に包まれる。もちろんそれは僕が起こした風で。
辺りには純白の羽も舞っており、なんだか神秘的だ。
… 当たり前か。だって “ 天使の祝福 ” をしたんだから。
… 君の未来に僕はいない。
僕の未来に君はいない。
―――そして。
僕じゃない人の隣に君がいて。
君の隣に僕じゃない人がいる。
… 僕の隣には誰も居ない。
大丈夫。寂しくない。一人は慣れてるから。
… ああでも。
『 せめて君が誰かの隣で笑うその日まで、君の未来を見守らせてください … っ、 』
君に幸せになって欲しいから、だから僕は天使の祝福をします。
天使の祝福、君に幸あれ ー ー Fin
─────
天使の祝福とは
天使のみが使える祝福。
天使の祝福を受け取った人間は幸運になり、どんな病気も治すことが出来る。
そして─────
天使の祝福を行った天使と天使の祝福を受け取った人間が出会っていた場合、天使との記憶は消される。
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