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じゃあ私が寝ぼけて箱に閉まっていた羽根をここに持ってきてしまったのだろうか。
「 … あ … 、朝食作らないと、」
そうだった、そろそろ朝食を作らないとあの人が起きちゃう。
そう思って私は手に持っていた羽を自身のポケットの中に入れ、此の部屋を後にした。
─────
?? Side
「 … あーあ 」
数年前の … 君の結婚式よりずっとずっと前から … 君だけを見守ってきた。
そのせいで君を幸せに出来るあの男に嫉妬してしまったのだろうか。数年前のあの日 … “ 天使の祝福 ” をした。
きっと周りの人は ずっと見守ってきたお気に入りの子を思った故にした行動 だと思っているのだろう。
だが実際には違う。彼女がそれで思い出してくれたら、なんて思ってしまったのだ。
… 七大罪を嫌い、七美徳を志す天使が呆れたものだ。
内心、自分自身に呆れながら君を見る。
… 君が結婚した日から君のことは諦めるつもりで、君のことを見守るのは終わろうと思っていた。
… だけど、この時期になると無意識のうちに彼女のことを見てしまうのだ。
… 僕と君が、初めて会った季節。
懐かしいな、なんて料理をしている君を見ていると後ろから聞きなれた声が聞こえてくる。
「 まふまふ? 」
「 … そらるさん 」
親であった神に捨てられた僕を拾ってくれた神様 … そらるさんが、座り込んでいた僕の隣に座った。
そして “ まだ引き摺ってんの? ” なんて言ってくる。
… そらるさんは僕が御法度に触れていても何も言わないでいてくれてる。見て見ぬふりをしている側も十分危ないのに。
「 … いえ。ただ … 昔のこと、思い出しちゃいまして、 」
「 それ、要するに引き摺ってるってことじゃん … 」
“ なんであの時連れていかなかったの? ” と聞いてくるそらるさんに対して僕は “ あの子は必要とされてたからです ” とただ一言、そう言った。
… 十数年前のあの日 … 、僕が彼女と初めて会ったあの時にここへ連れて来れば僕は彼女と幸せになれたのだろう。
親であった神にそう決められていたのだから。
でも僕が彼女を連れてこなかったから神は激怒し、僕を捨てた。
だけど僕はそれで良かった。
キラキラと綺麗に笑う彼女の笑みを奪いたくなかったから。
「 … 昔の話、聞かせてほしいんだけど 」
「 え? 」
“ まふまふから昔の話そんなに聞いたこと無かったから ” なんて言って話を催促した彼に、仕方なく僕は過去のことを話し始めた。
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