5. 本題 ページ5
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SIDE−千鶴
「まず、改めて本題に入ろうか。_斎藤くん。」
斎藤、と呼ばれた隊士を見やれば、昨夜もいた長髪の彼だった。
「夕べ、失敗した隊士らが市中にて不逞浪士と遭遇。そこに居合わせた彼女が斬り合いの上、我々が処理しました。その折、この者に目撃されました。」
「わ、私何も見てません!!」
「本当に?」
「本当だ。私が事が収まるまで目を瞑っていろと言った。彼女は私の言葉に従った」
また、彼女が助け舟を出してくれた。
どうしてここまで私を助けようとしてくれるのだろうか。
「あれ、総司の話じゃお前がその隊士達を助けてくれたって話だったんだが..」
「違います!私はその浪士達から逃げていて、そこに彼女と新選組の人たちが来て!だから私が助けて__」
「もうしゃべるな!」
「へっ、?!」
隣の彼女から怒鳴られた。
「じゃあ隊士達が斬り殺されていくところはしっかり見ちまったって訳だな。」
しまった、しゃべってしまったんだ、私は。
「えっ..」
「お前、根が素直なんだろうな」
「ほら殺しちゃいましょうよ、口封じするならそれが一番じゃないですか?」
「そんな!!」
「失敗した隊士、と先刻申したな。それは何だ?人様には言えないような真似をしているのか、新選組とやらは」
「ッそれは__」
「言い訳もできぬとはなんと愚かな。それ故、何の罪もない民を殺すと?」
「ははっ、冗談ですよ冗談。ほんとに殺そうなんて思ってないですって」
「..総司。冗談に聞こえる冗談を言え」
「お願いです!!私!誰にも何も言いませんから!!」
「もういい、連れて行け」
そう言われ、隣にいた男性に無理やり立たされ、連れて行かれた。
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作者名:おさとう | 作成日時:2021年5月3日 18時