15. 帰還 ページ16
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SIDE−千鶴
「Aさん。昨夜は何故、私は追い出されたのでしょうか?」
昨夜の夕ご飯の後はAさんに追い出され、それからAさんは翌日の夕方になるまで部屋に帰って来なかった。
そして今現在、やっと帰って来たAさんに質問を投げかけている。
「お前は深く首を突っ込むな。」
「..でもッ」
「死にたくなければ昨日のことは忘れろ。..いいな」
「..はい_。」
私の反論は惜しくも不発に終わった。
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そして時は流れ、今は夕方。
土方さん含め、大阪に出張していた隊士の方々が戻ってきて初めての夕飯だ。
もちろん、今日も隣にはAさんもいる。
そして土方さんに何故、私たちがここで食事を摂っているのかを責められたが、周りの皆さんが庇ってくれた為、これからもここでみんなで食事を取ることを許された。
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正確にはみんなではなかった。
あの日以来、山南さんはあまり口を訊かなくなった。
夜、一人で片腕で刀を振るう姿も見かけた。
それはもどかしく、自分に苛ついているようにも見えた。
それに対してAさんは、「あれはもう刀を振るえないだろう」そう言った。
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作者名:おさとう | 作成日時:2021年5月3日 18時