12. 呼び名 ページ13
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SIDE−千鶴
「何でそいつらが居るんだ?」
あの後、Aさんを無理やり説得させて来たものの、どうやら他の人たちは待ちくたびれていたようだ。
「なんだよ、居ちゃ悪い?」
私たちを気遣ってか、藤堂さんは原田さんに言い寄っていた。
「んなこたぁねぇが、まあ飯はみんなで食ったほうがうまいに決まってる!」
「ほら、そんなとこに突っ立ってねぇでこっちに座れ!」
そう言って原田さんは永倉さんとの間を開けてくれた。
「すみませんっ」
「いいよ。」
そう言って、私の食事が乗ってある盆を置いてくれた。
藤堂さんはきっといい人なんだろう。
「ありがとうございます、藤堂さん」
「あー、その藤堂さんって辞めない?みんな平助って呼ぶからそれでいーよ」
「でも_」
「俺も千鶴とAって呼ぶから」
「じゃあ平助くんで..」
「気安く私の名を呼ぶな、不愉快だ」
どうやらAさんは名前で呼ばれるのは嫌らしい。
あれ、でも私が呼んだときは何も言われなかったような..
「はぁっ?!じゃあなんて呼べばいいんだよ!風間か?!」
「辞めろ、私を苗字で呼ぶな」
なんと理不尽な。
どうやらAさんは苗字で呼ばれるのも嫌らしい。
「なッ?!」
これには流石の平助くんも言葉を詰まらせた。
「何何、じゃあAちゃんって呼べばいい?」
今度はニヤニヤとした沖田さんがAさんに話しかける。
「お前はどうもいけ好かん。視界に入るな」
なるほど。Aさんと沖田さんは馬が合わないようだ。
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作者名:おさとう | 作成日時:2021年5月3日 18時