14話:簪 ページ17
「ねェ歳、何処行くの?」
行き先を知らされずに連れてこられたAは
困惑の表情を浮かべ土方に問う。
「思い出作りだ。」
「思い出、作り……?」
きょとんとした顔で首をかしげる。
「あァ。手前思い出作りしたら離れるとき悲しくなるから
俺たちと寝ねェようにもなったんだろ。」
Aの顔を見ると目線を逸らす。
「ったく……子供らしく大人と遊んどけ。」
わしゃわしゃとAの頭を撫でる。
「ちょ、髪の毛ぐしゃぐしゃー!!」
そう言って土方の体をポカポカ叩くAの顔には
満面の笑みが広がっていた。
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「町…?」
土方に連れられてAが来た場所は人で賑わっている町だった。
「あァ、なんか買ってやろうと思ってな。行くぞ。」
そう言って再びAの手を取り歩き出す。
着いた場所は簪屋だった。
「簪買ってくれるの?」
「前に町に来たとき歩いてた女たちの簪ずっと見てただろ。」
「わ、歳凄い見てるね…。
そこまで行くと怖いよ?」
からかうように笑いながら言うAの頭を
軽く叩きながら簪屋に入る二人。
「んで、どれが欲しいんだ?」
「んー…。」
五分ほど悩みながら店を回るA。
そのあとを黙ってついていく土方。
周りから見れば娘に簪を買ってあげようと一緒に来た父親の図だろう。
「これ!」
暫く考えた末Aが決めたのは桃色の桜模様の簪。
「おお、いいじゃねェか。名前にも合うしな。
これにするか…って高っけェ…!?
……まァ仕方ねェか…。」
簪を手に取ると会計に持っていく。
「ありがとうございました、またお越し下さい。」
今でいう営業スマイルを浮かべた店員は包装をすると土方に手渡す。
「ほらよ。」
簪を包装紙から取り出すとAの髪に刺す。
「どう?似合ってる?」
嬉しそうに笑ったAにつられて笑顔になる土方。
「あァ。……似合ってる。」
「あー!!!歳が笑った!鬼なのに笑った!!!」
「うっせェよ!帰るぞ、もう夕餉時だ。」
Aの手を取るがAは手を離し土方に飛びつく。
「これで帰りたい!」
「仕方ねェな、今日だけだぞ。」
土方はAを抱っこする感じで帰ることにした。
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「ったく…本当Aはくっつき虫だな…。」
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こよーて@読み専門(プロフ) - 雅さん» 有り難うございます!よければ続きもご覧になってください( ´ ▽ ` ) (2014年3月25日 0時) (レス) id: a109a16510 (このIDを非表示/違反報告)
雅 - 初めまして!!雅といいますこの作品、とても気に入りました!! (2014年3月24日 16時) (レス) id: 4f9fc378c8 (このIDを非表示/違反報告)
斎藤ようこちゃん(プロフ) - 終わってしまいました。泣あなたの作品大好きです。本当にありがとうです。 (2014年3月21日 13時) (レス) id: a4068e100d (このIDを非表示/違反報告)
練 白紅(プロフ) - お疲れ様です!とっても面白かったです!いきなりで、悪いですが、この作品の後(新撰組ができた後)の話を書いていただけないでしょうか?とっても気になります!他人任せですみません。 (2014年3月20日 22時) (レス) id: 583a18df1a (このIDを非表示/違反報告)
赤坂みりな(プロフ) - お疲れ様です!!よければ続きも書いていただきたいです! (2014年3月20日 21時) (レス) id: 2758a0fac7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こよーて@読み専門 | 作成日時:2013年12月31日 9時