十五戦目。 ページ18
沖田「…落ち着いた?」
その一言で首を縦に振る。
一体何分くらい泣いたのか。
絶対泣かないと決めていたのに、その意は呆気なく散った。
その前に涙はもう枯れ果てたと思っていた。
美桜「本当にご迷惑をおかけして申し訳ございません…」
沖田「大丈夫だよ。…話してくれて有難う。本当はまだ聞きたいけど、もう遅いからさ、また明日聞いて良いかな?」
美桜「…はい。」
沖田「有難う、今夜は僕の部屋で寝なよ。その腫らした目で人に会うの嫌でしょ」
美桜「私は大丈夫ですけど…」
沖田様は大丈夫なのか。
そして、好きな人と寝るのはとても恥ずかしいもの。
美桜は考えた。
確かにずっと泣いていたから目は赤く腫れている。
夜だから会う可能性は低いがこんな表情姉様にも桜姫にも見せたくない。
見せるか見せないかで決めたら、ここにいる方が良い。
私は考えた結果お言葉に甘えることにした。
沖田「布団引くから少し待ってね」
そう言ってふわりと微笑んだ。
その優しい笑顔にまた胸が痛んだ。
このお方は蛍お姉様のものだ。
私がこの方に恋しようか自由、でも大切な姉の大切な人。
これは絶対奪いたくないんだ。
だから、この気持ちを殺す。
お姉様や御兄様の想いも記憶も誰にも「奪えない」否、私達の記憶や想いがあるまでは誰にも「奪わせない」。
だから、この方の気持ちは奪わない。
そんなことしたら、お姉様が悲しむ、合わせる顔もない。
そんな事考えたら沖田様が声を掛けてきた。
沖田「布団、引き終わったよ、後、はい、これ。着替え。僕は後ろ向いとくからさ。」
そう言ってくるりと後ろに返った。
沖田様は「終わったら声を掛けてね」だけを言うと静かになった。
そして、瞬く間に着替え終わる。
美桜「終わりました」
沖田「うん、似合ってる。でも、少し大きかったかな。袖が少し余ってるね」
美桜「いえ、有難うございます。とても温かいです」
私は沖田様にふわりと笑う。
僕はそれに胸が苦しくなってしまった。
蛍ちゃんが笑った表情に似ていただろうか。
美桜「沖田様?」
その声にハッと我に返る。
沖田「あ、ごめんね。ほら、もう寝な。僕は大丈夫だから。」
美桜「お言葉に甘えることにします。では、お休みなさい。」
私は布団に行ってすぐ眠った。
余程疲れていたのだろうか。
規則正しい寝息が聞こえてくる。
沖田は静かに彼女を見つめていた。
そして、眠っている彼女にそっと額に口付けをした。
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雛月のえる(プロフ) - ★紅葉☆くれは★さん» 紅葉さん!こんにちは!おめでとうございます!これからもよろしくお願い致します!本当にですか!?それは嬉しいです!これからも頑張って行きます! (2016年1月2日 23時) (レス) id: f0544b0ee0 (このIDを非表示/違反報告)
★紅葉☆くれは★(プロフ) - 雛月のえるさん» のえるさん!!こんにちは!そして、明けましておめでとうございます!私、雪花ノ蝶 セッカノチウでお世話になっています!紅葉です(≧∇≦)bのえるさんのお話、拝見しました!面白かったです!!引き続き、頑張って下さい! (2016年1月2日 23時) (レス) id: 57bf35a786 (このIDを非表示/違反報告)
斎藤ようこちゃん(プロフ) - 楽しみです。私も、作品書けるように頑張らないとね。 (2015年12月13日 22時) (レス) id: 648f4dff02 (このIDを非表示/違反報告)
雛月のえる(プロフ) - 斎藤ようこちゃんさん» 有難う!これからも頑張ります! (2015年12月13日 22時) (レス) id: f0544b0ee0 (このIDを非表示/違反報告)
斎藤ようこちゃん(プロフ) - こんばんは。新作ですねー。続き楽しみです。 (2015年12月13日 22時) (レス) id: 648f4dff02 (このIDを非表示/違反報告)
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