第七十四夜 ハツモウデ ページ14
髪染めを買って貰いいつもの黒色の髪に戻ったことで精神的に復活した。
沖「新鮮で良かったのにな。戻さない?」
貴「戻しません」
先日の夜から何かと沖田は絡んでくる。Aとしては気づかれてしまったのかと気が気でない。
だがこうして話しかけてくるだけで特に何もしない。
貴(何を考えているのか分からない、っていうのが怖いんだけどな)
沖「ねぇ、初詣は行かないの?」
貴「ハツ……?」
沖「えっと、新年を迎えたら神社に行って神様に今年頑張ることを報告するんだよ」
貴「へぇ。でも私、信者ではないですけど」
沖「行かないの?」
沖田にとってAが参拝者であるかどうかはどうでもいいらしい。
そういえば最近この人が外に出るのをあまり見ない。
体調が悪いらしくあまり出られないらしいが、それはそれで息が詰まるのだろう。
貴「……よく分からないですけど、沖田さんが行きたいって言うなら」
〜
貴「ごめんなさい帰っていいですか」
こんなはずではなかった。Aの想定していたことと全く異なっていた。
貴「なんでこんなに人が多いんですか……」
沖「初詣だからねぇ」
ハツモウデだとこんなに人が多いのか。ギュウギュウ詰めでもはや自分が歩かなくても波に乗れば勝手に神社に連れて行ってくれそうな勢いだ。
沖「あ、僕達が外に出たこと土方さん知らないと思うから内緒にしててね」
貴「ああ……」
一瞬でも同情してしまった私が悪かったから。どうか屯所に帰らせてください。
沖「はぐれるからもうちょっとこっち来て。はい五銭」
貴「え?」
沖「お賽銭箱にお金入れなきゃ神様が怒るからね」
貴「なるほど……」
思えばこの国の風習や伝統など何も知らない。
この機会だから色々と勉強しておくべきなのか。
貴「でもバレたら斎藤さんに怒られるかなぁ……」
沖「君に対しては過保護だよね。たまに厳しいけど」
貴(過保護?)
突き放すときは突き放す。たまに助けてはくれるけど。
それを沖田は過保護と言った。もしかして斎藤はAに対して優しい?
貴(いやありえないって)
沖「この際だから聞くけど、君って一君のこと好きなの?」
貴「え!? いや、何を……」
沖「わかりやすいなぁAちゃんって」
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作者名:ナッキ | 作成日時:2017年1月26日 20時