第28幕 きみと今世に、ただそれだけ ページ10
「へ……?」
「屋内でAを探すくらい、なくすことに比べたらわけはない。」
「お、おい一くん!!」
「…あんたがいない世界を生きるよりも、あんたがいる世界であんたを探し回って生きる方がよっぽどマシだ」
「ちょ、斎藤…おまえ何言って…」
「そ、そうだぜ斎藤…冗談キツいっての…」
焦ったように怒鳴る平助の声も
原田先輩と永倉先輩の戸惑った声も
今の私の耳には入らない。
斎藤くんのすぐ近くにいるはずの沖田くんや薫くん、風間先輩、…平助。
その誰もが、私の視界からシャットアウトされる。
斎藤くんが私だけを見つめているのと同じように、
私の瞳も、まっすぐに斎藤くんだけを写した。
まるで、この世界に二人しかいないような。
そんな感覚に、陥る。
「……斎藤くんも。私のこと、『北神A』ちゃんと勘違いしてるでしょ?」
「…言っている意味がわからん。北神Aはあんただろう」
「違うよ。薫くんや先輩たちも言ってたけど…私は貴方たちの知る北神Aじゃない」
私は。平助の好きな北神Aでは、ないのだ。
名前が同じで、何人もの人に見間違われる程には顔も似ているはずだけれど。
平助が好きなのは、幼馴染の私じゃない。
『北神A』ちゃんと平助が、いつ出会ったのかは知らない。
私が知らなかっただけで、小さい頃からの知り合いなのかもしれない。
けれど、それでも。平助が好きになったのは16年間ずっと兄弟のように育ってきた北神Aーー私ではない。
ただ、それだけだった。
第29幕 呪いし命運、呪われし僕等→←第27幕 蒼の瞳が語る
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ひまわり - ずっと涙が止まりません!続き楽しみにしてます。 (2016年3月6日 3時) (レス) id: 59146efa58 (このIDを非表示/違反報告)
早乙女みんと@プロフ一読(プロフ) - ありがとうございます!! (2014年9月17日 20時) (レス) id: 26a7ef28d1 (このIDを非表示/違反報告)
怜弦@もと明(プロフ) - 切ない……!お互いを思うが故に……!続き楽しみに待ってます!! (2014年8月29日 17時) (レス) id: ac89b44b7f (このIDを非表示/違反報告)
早乙女みんと@プロフ一読(プロフ) - ありがとうございます! (2014年8月13日 20時) (レス) id: 26a7ef28d1 (このIDを非表示/違反報告)
あっちゃん25(プロフ) - 更新、お疲れ様です。切ないです。。。 (2014年7月31日 21時) (レス) id: 2be9d3c16a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:早乙女みんと | 作成日時:2013年12月20日 15時