【薄桜鬼】 君が好きだと伝えたい 【藤堂平助】

第２０幕 後悔をしない為に、 ページ2

〜薫side〜

俺が好きだと言っても、勘違いだと困ったように笑っていたA。



それでも、藤堂が『北神A』を好きだと言った瞬間。


……Aは、泣きそうな顔で逃げた。




その違いが示す事実なんて、あくびが出るほど簡単だ。……もう、明確だった。



Aは、今でも昔と変わらずコイツを―――


「くそ…っ、あいつがいるの忘れてつい昔の話を…っ」

「………馬鹿だな、お前。そうじゃないだろ。気付かないAもAだが、Aが逃げた理由がわからないお前も大概鈍感って事だな」

「は…？！何でそういう話になんだよ？」

「決まってるだろ…っ！Aが逃げた理由なんてお前がっ！！」



藤堂が想う『北神A』が自分の事だと気付かないA。


自分じゃない『北神A』を想う藤堂に耐えきれず逃げ出したAの心に気付かない藤堂。



きっとそのすべてに気付いている俺が誤解を解けば、千年ずっと惹かれて止まない、俺の大好きなAの笑顔が見れるだろう。



俺は、Aの笑顔と幸せを、ずっとずっと願ってきたつもりだ。





だから、あの時


俺はAへの想いを仕舞い、

藤堂にAを託す事にしたんだ。



藤堂といればAは、俺が好きな笑顔になるから。







けれど、現実はそううまく行かなかった。


「薫……？」

「っ……嫌いだ、お前が。千年前から大嫌いだ」



Aの死を以て、俺は知った。


自分の願いは、自分で叶えるしかないのだと。

幸せになって欲しいと思う人は、自分で幸せにするのだと。



……人に任せたりなどするから、後悔するのだと。

第２１幕 死に際の花言葉→←第１９幕 関係が変わっても

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