〜第六話〜 ページ8
なんとか無事に退院をした。
別れの挨拶と荷物を取りに行くため、私は十一番隊に向かった。
十一番隊では、相変わらず殺し合い並みの鍛錬をしている。
隊長に挨拶をしようと隊首室に向かうが、やはり隊長はいなかった。
「隊長に一言いいたかったな…。まぁ、しょうがない。枝豆先輩のところに行こう。」
枝豆先輩のところへ向かう途中、雄大と会った。
「あ、紅葉。退院したんだね。よかった。」
「うん。お見舞いとかいろいろありがとうね。」
「気にしないで。ところで、ここで何してるの？」
「十番隊に移動だから、荷物まとめるついでに挨拶。」
「斑目副隊長なら、鍛錬してるよ。行っておいで。」
「ありがとう。」
私は雄大に手を振って、枝豆先輩のところへ向かった。
「枝豆せんぱーい。いますかー？」
「あ？天竜じゃねぇか。何の用だ？」
「十番隊に移動することになったので、挨拶をと。今までありがとうございました。十番隊に行っても、甘味おごってください。」
「あ？？十番隊に行ったら、お前は俺の部下じゃねーだろ。甘味はおごらねぇぞ。」
「枝豆先輩なんだかんだ言って、おごってくれるくせに。じゃあ、ここで失礼します。」
「おう。元気でな。」
「はい！」
枝豆先輩に挨拶をすると、私は自室に向かい、荷物をまとめた。
あらかた荷物が片付いたころ、雄大が部屋に入ってきた。
「紅葉。」
「なーに雄大。片付けならそろそろ終わるよ。」
「そうじゃなくてさ、十番隊でも頑張るんだよ。」
「わかってるよそんなこと。」
「紅葉、ほんとに行っちゃうの？」
「当たり前でしょ。命令なんだから。」
「そっか。…さみしいな。」
私は耳を疑った
雄大が寂しいと言った。
今まで雄大が寂しいと言ったことはない。
「私がいなくなると寂しいわけ？またすぐに会いに来てあげるよー」
「うん…。待ってるね。」
「さて、荷物もまとまったし、そろそろ行くね。」
「うん。じゃあね。」
私は荷物を持ち上げ、部屋を出て行った。
何故か部屋に立ち尽くす雄大に声をかけたが、雄大は反応しなかった。
「雄大？じゃあね。そんなに落ち込まないで。別に現世に行くわけじゃないんだから。」
何を言っても雄大は反応しない。
「私行くからね。またね！」
私は少し急ぎ足で十一番隊を出た。
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作者名：稀代 | 作成日時：2019年10月5日 16時
