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〜第三十二話〜 ページ35

「あなたが天竜紅葉サンっすね。」

そう言ったのは浦原商店の店主、浦原喜助様だ。

「はい。」

「尸魂界からは三か月で卍解を習得させてほしいと頼まれました。卍解は本来時間をかけて習得するものです。三か月となると、とても厳しいものになりますが、大丈夫ですか?」

「はい。大丈夫です。」

空気がとても重かった。

それ程難しいことなんだと、少し不安になる。

「じゃあ、コチラへどうぞ!!」

浦原さんはそんな思い空気を覆すように、明るく言った。

浦原さんに続き、私と雄大は浦原商店へ入っていった。

中はいたって普通の駄菓子屋さんで、その奥に部屋があった。

浦原さんの後ろについていくと、浦原さんが床を開けた。

「えええ!!見て紅葉!床が開いたよ!!」

雄大が少し興奮気味に言う

「そうだね。ちょっと静かにね。」

私がそう言っても、雄大は静まらない

「そんなに反応してもらえると嬉しいっすね。じゃ、どうぞこちらへ。」

浦原さんに促され、ぴょんと飛び降りる。

そこは不思議な空間だった。

「地下なのに空?それにすごく広い。不思議。」

「ここはあたしが作った場所です。紅葉さんには、ここで卍解を習得してもらいます。卍解は具現化した斬魄刀と戦い、屈服状態にすることで習得できます。ここなら、気にせず戦えます。」

じゃあごゆっくり。浦原さんはそう言って戻っていった。

「さっそく始めようか。彼岸花。」

私が声をかけると、具現化した彼岸花が現れた。

どこか雰囲気がいつもと違う

いつもの花くんは、もっと雰囲気が柔らかい

だけど、今日の花くんは少し怖い。

私を『主』としてではなく、『敵』として見ているようだった。

「手加減はしないよ。紅葉。」

花くんはそう言うと、私に一直線に向かってきた。

それに素早く反応し、攻撃を斬魄刀で防ぐ

花くんは容赦なく攻撃を仕掛けてくる。

私は防ぐのが精一杯だった。

どうしたらいいんだろう

どうしたら卍解を習得できる?

どうしたら…

考えても答えは出てこなかった。

少し、よそ見をした瞬間

花くんが持つ斬魄刀が、目の前にあった。


「紅葉。そんなんじゃダメだよ。」


花くんがそう言って不気味に笑った。

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作者名:稀代 | 作成日時:2019年10月5日 16時

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