〜第三十話〜 ページ33
私は今、穿界門の前に立っている。
今から、卍解を習得するために現世に向かうのだ。
私は斬魄刀にそっと触れた。
もし、できなかったらどうしよう。
私はあの死神代行のように強くない
強力な力があるわけでもない
もし、尸魂界を守れなかったら
もし、もし、もし、
これ以上は考えたらいけない。
そうだ。私が強くなって、最悪の事態が起こらないようにするんだ。
私は後ろを振り返った。
そこには、日番谷隊長や松本副隊長、檜佐木副隊長、枝豆先輩、いろんな人がいた。
「天竜。お前ならできる。行ってこい。」
隊長がしっかりした声で言った。
「紅葉!卍解習得して、兄弟のことぎゃふんと言わせてやんなさい!!」
松本副隊長が笑った。
「天竜。俺たち、お前が強くなって帰ってくるの、楽しみにしてるからな。」
檜佐木副隊長が微笑んだ。
「天竜!!お前、帰ってきたら、俺と勝負だ!!」
枝豆先輩が頭を光らせて言った。
「はい!行ってきます!!」
私がそう言った時だった
「待って〜!!!!」
雄大が慌てて走ってきた。
「紅葉、僕も行くよ。」
「え?」
「紅葉一人じゃ怠けそうだからね。僕が見張りをするんだ。」
「何それ…。」
少し得意げに笑う雄大に、なんだか笑えてきてしまった。
「ちょっと紅葉!何笑ってんのさ!」
私の笑いは止まることなく、いつしかそこにいた全員が笑っていた。
まるで、戦いのことなんて忘れたかのように。
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作者名:稀代 | 作成日時:2019年10月5日 16時