君に失恋したから髪を染めた【羽風薫】 (ページ5)

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4話ページ5

4話
side薫

久しぶりに見たあの子は髪を染めていた。
綺麗な髪だったのにね。
ふんわりとした明るい色で、俺は好きだった。

A「薫」
薫「…Aちゃん」

ダークブラウンの髪だったからパッと見では誰か分からなかった。

薫「髪、染めたんだね」
A「あ、うん。…変かな？」
薫「変じゃないよ。似合ってるよとっても」

でも、俺はねｰｰｰｰｰｰｰ

A「そう、良かった」

安心したように息を着くからそれ以上は何も言えなかった。
君は結構人目を気にするタイプだもんね。

薫「それでどうしたの？」
A「あ、いや、その、聞いとこうかなーって思ったことがあって、」

スカートの裾を掴んだり離したり。
緊張した時の癖だね。
わかりやすいなぁ。
俺相手に何を緊張してるんだか。

薫「姫宮くんと婚約した話？」
A「え、いや、まぁ、うん…」

我ながら自分を苦しめる答えを出してしまったなぁ。

薫「それなら朔間さんから聞いたよ」
A「あ、そ、そうなんだ…」
薫「他に何かある？Aちゃんと話してるとこ見られたら色々まずいからさ」

俺のファンの子が君のこと悪く言っちゃうからね。
君が傷つくことはしたくない。

A「……そうだよね」

(……え？)

傷ついた様な苦しそうな表情。
え、なんでそんな顔…？

薫「Aちゃｰｰｰｰｰ」
A「じゃあ私はこれで」

俺の言葉を遮って走って行ってしまった。
今にも泣きそうな表情に俺は戸惑ってしまった。

薫「なんで、そんな…」

俺には分からなかった。