君に失恋したから髪を染めた【羽風薫】 (ページ22)

今日:16 hit、昨日:33 hit、合計:52,417 hit

21話ページ22

21話
sideA

桃李「いらっしゃーい！」
弓弦「お待ちしておりました、A様」
A「2日お世話になります」

週末、約束通り桃李のとこへお邪魔することに。

桃李「何するー？映画とか見るー？あ、妹もAに会いたがってたから3人で遊ぼうよ！」
A「いいよいいよー」
桃李「わーい！」

桃李は飛び跳ねながら喜んでいる。
やっぱりかわいいな。

弓弦「ぼっちゃま、はしたないですよ。…申し訳ございません、とても楽しみにされていたようなので…」
A「気にしないで。それはとても光栄な事だから」
桃李「弓弦なんかと話してないで僕の部屋に行こー？僕見てみたい映画あるんだ！」
A「行こうか。その前に妹ちゃんを迎えに行かないと」
桃李「うんうん！」

桃李に手を引かれながら屋敷内を歩く。
相変わらず広い。
うちも広いんだけどやっぱり少し慣れない。

桃李「そう言えばAって最近まで英智様と一緒に暮らしてなかったんだよね？どこにいたの？」
A「夢ノ咲の近くだよ。使用人2、3人と一緒に暮らしてたんだ。本家にいると面倒な者に狙われやすいからってね」
桃李「意外と愛されてるんだね」
A「意外？」
桃李「もう少し機械的な理由かと思ってた。…天祥院はそれだけ大きな一族だし」
A「英智に対してはそうかもね〜。跡継ぎだから大変みたい」
桃李「離れて暮してて寂しくなかった？」
A「少しは寂しかったけど、友達がいたから」

友達という言葉になぜか反応した桃李。

桃李「…友達って、羽風先輩のこと？」
A「うん。幼なじみだよ」
桃李「そう言えばさ、2人の出会いとか聞いたことないなー。教えてー？」
A「別にいいけど面白い話はないと思うよ？」
桃李「いいのいいの！Aの話はなんでも聞きたいー！」
A「じゃ、じゃあ少しだけね」

私と薫が出会ったのはまだ小学校に入る前だった。