【名探偵コナン】続・初デート先で大事件とか聞いてない【赤井秀一/ギャグ】

#377 ページ46

「我ながら名案だったと思うんですけど……どうでした？」
「……」


　単なる思いつきにしては手っ取り早くダイレクトに意図が伝わり、尚且つ偽装恋人の演技としても合格点(ついでにやり返せたし一石三鳥)なんですよ！

　……と謎のPRを披露し、キラキラと目を輝かせている。勢いに押される赤井は答えづらそうにしつつ口を開いた。


「……こんな人のいない場所でやっても偽装効果は薄いと思うが」
「ハッ、確かにッ！！？」


　そりゃ〜そうだわね！？人に見せつける為の偽装関係なのに誰もいないところでやったらそれはもう偽装じゃないわよただの恋人なのよ。


「ついでに聞くが、平然と異性にやってのけるその耐性、どこで身につけた？前(#243)に俺からやった時は相当引き摺っていたが」
「耐性？？そんなこと考えてなかったのでよく分からないです……あ、嫌だったら無かったことにしてください」
「……そうか……」
「そういう秀さんはどうなんですか？された側だし、ちょっと位照れて――」
「ない」
「……ハイ……」


　今までにない速度で赤井は返答する。

　ええ、分かっておりましたとも。小娘ひとりにほっぺちゅーされたくらいで動揺ひとつ見せないであろう事は。とAは心の中で繰り返し頷いた。
　……実際は変装マスクのせいで見えていないだけなのだが。


「まあ……言い出してきたのはお前の方だ。必要に応じては人前でもやっていいと認識して、構わないな？」
「んっなにをです？」
「キスを、だ」


　……その返答に脳内思考が全停止した。


「エ」
「話は終わりだ。いい加減帰るぞ」
「ままま待って下さい私の中では今緊急事態発生したんですが」
「嫌なら寝起きの目覚まし(モーニングポエム)にするが」
「有無を言わさない選択肢やめてください前者でいいですからッ！！」

――

　とっぷりと日が沈み、二人はようやく車内へと向かい始める。
先を歩く赤井に早足で追いついたAは手を掴み、おもむろに囁いた。


「この先、また色々起きるかもしれないですけど……これからもよろしくお願いしますね、秀一さん！」


　壊さないように手を伸ばした筈の、あの時の涙を浮かべた表情は無く、眩しく笑ってこちらの腕を引いていた。


「――君には適わんな」
「ん、何か言いました？」
「何も」


　いつだって、この少女は誰かを照らす側にいるのだろう。
　せめてこの先の道で、この光を失う事がないようにと、手を握り返した。


(さっき立て直したのに、結局秀さんに戻っちゃいましたね)
(声は一応そのままだったがな)

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本日の名言！

そんな顔をするな…それとも俺の保証だけじゃ不安かな？《赤井秀一》

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