【名探偵コナン】続・初デート先で大事件とか聞いてない【赤井秀一/ギャグ】

#369:騒動閉幕！事情聴取開幕！ ページ38

「……さん、」


　うっすらと名前を呼ばれた気がしたA。
瞳を閉じた人形のような顔の眉間に皺を寄せる。


「Aさん……おいA」
「……むんﾝ゛……」
「(全く起きないな……予想はしてたが)」

　Aは顔面をしわくちゃにし、言葉とも呻きとも取れない曖昧な声を上げる。
一旦起こすのをやめてその寝顔を暫く眺めた後、沖矢はため息を1つ吐き出した。
さて、このじゃじゃ馬の眠り姫をどうしたものか。

　場所は沖矢昴の車内。その後部座席で、やれやれと見下ろす沖矢の目の前で、Aはすやすや眠っていた。
――

　如何にして今の状況に至ったのか。それは遡ること小一時間前。
Aの口からはプカプカと魂のようなものが抜けかけていた。


「……ツカレタ……」


　じっ……事情聴取、長くない？？？
無理、あまりに無理すぎる。さっさとお家に帰してくれこちとら一秒毎に精神が消耗してるんですが！？

ひと騒動もふた騒動もあったミステリートレインから下車して、数時間。A達乗客全員は、現地の警官から質問攻めを受けていた。


「Aさん、何か口から(魂のような物が)飛んでいきましたよ。逃したら駄目だと思うんですが」
「気が済んだら戻るよう伝えて下さい……」
「放し飼いは良くないですよ」


　Aの口から飛んで行った魂を眺める沖矢。Aとは正反対に、普段と何一つ変わらないすまし顔をしていた。


「大体、昴さんは何故そんなに平然と……？？一緒に同じ事情聴取受けたのに」


　同じ体験をした後なのにこの差は何？格の違いを見せつけられたような気がする……と、Aはそっと考え唇を噛んだ。


「おやおや……僕達はただの乗客。やましい事なんて何も無いんですから、これが普通でしょう？偽装やら口裏併せなどに気を回していれば話は別ですが」
「息をするようにウソをつきやがるこの男」
「はて、なんの事でしょう？」
「ウワ〜ッ(引)」


　両肩をすくめてとぼける沖矢を見ていたAは、一周まわった感心を覚える。

　あの(組織の)人達の次にやましい事があるの、他でもない我々ですが？？事情聴取も言われた通り口裏併せと何も知らないフリを決め込みましたが何か？？？
流石はこの男、容姿年齢学歴声帯に至るまでの偽装の塊なだけありますわ。その変装は伊達じゃねえ。眼鏡は伊達だけど。


(僕達は、共通の趣味のミステリーを楽しみにこの列車に乗ったカップルでしょう？ね、Aさん)
(あ〜はいそんなコト(設定)もありましたね)
(おやおや……つめたいですねえ)

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本日の名言！

そんな顔をするな…それとも俺の保証だけじゃ不安かな？《赤井秀一》

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